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第21話 楽屋物色

 


荷星さんの楽屋を物色中な僕達。



「撮影用の和服にまじって、洋服もちらほらあるね。荷星さんの私服だろうか」

「うう……記念に着てみたいなぁ、衣装」

「(似たようなの、着てるくせに)」

「僕も和服着てみたいなぁ……男物を」

「陸、少しは女物を着ようよ…」



龍一君に呆れた目で見られた。女物って着にくいし、デザインが好きじゃないんだよなぁ……。

真宵ちゃんのせいでなんかさっき真剣に悩んでいた龍一君が台無しだ。ま、悩みすぎるよりは良いのかもしれないね。

メイク用の小道具なんかが並んでいる所を真宵ちゃんが見ていたが急に声をあげた。



「あっ!“ちょんまげブギ”で使っているカツラがある!なるほどくん!被って!被って!」

「やだよ」

「良いじゃん。被ってよ」

「陸まで……だいたいなんで、カツラ見ただけで番組名まで分かるんだよ」

「時代劇は、ちょっと、ね」

「(何が“ちょっと”だよ……)」

「僕も時代劇は好きだよ。昔の日本、凄く好きなんだ」

「そうなんですか!今度話しましょう!」

「そうだね」



真宵ちゃんが生き生きしている。本当に好きなんだ、見た目通りに。

しかし、真宵ちゃん。切り替え早いなぁ……。



「スタッフからの差し入れかな。お菓子がならんでいるね。和菓子に、お茶、か」

「うー、なるほどくん。食べたいねぇ」

「さっき、みそラーメン食べただろ」

「お菓子は、別バラだよ」

「(女の子は、ハラをいくつ持っているのだろう……)」

「僕はあまり甘い物は食べないかな……珈琲があれば喜んで食べるけど。お茶は好きだなぁ」

「……陸ってやっぱり男っぽい」

「失礼な。洋より和が好きなだけだよ、龍一君」



龍一君は簡単にメモを取りながらあちこち探っていた。真宵ちゃんは……うん、漁ってるという言葉があうな。



「あ。荷星さんのカバンかな」



真宵ちゃんが床に置いてあった鞄を開けて漁り始めた。

まぁ調査して後だから良いんだけどね。



「こら。……勝手に開けない」

「せめて手袋しようか、真宵ちゃん」

「あ、こんなものが……」

「スタッフ用のカードキーだ。荷星さんの物だろうね」

「貰っておこうよ。なるほどくん」

「借りるだけ、な」

「本人にちゃんと言っておくんだよ、龍一君」

「分かってるよ陸」

「じゃあ次はこのカードキーの《第1スタジオ》だね。行こうか龍一君、真宵ちゃん」

「そうだな、もうここで調べることもなさそうだし。行こう!」



僕達はスタッフエリアを出て、先程の入口近くまで戻った。

ノコちゃんまだ居るし。ノコちゃんが全力で走ってきた。



「松山ーー!!頼むッスから、御剣検事の電話に出てあげて欲しいッスゥゥゥウ!!電話に出ないからって酷く落ち込んでいるッス」

「やだ。『御剣検事』としての怜待大嫌いだから。考え直すって言うなら、電話してあげるって言っておいて。まだ、前回の裁判のこと僕怒ってるんだからって」

「(うわぁ、御剣可哀想……)」



龍一君がそんなことを思っていたなんて僕は知らない。





(あの輝いてた頃の怜待の気持ちを思い出して欲しい)

(……)
(み、御剣検事?大丈夫ッスか?)
((嫌いか……直接聞いたわけでも、本気ではなくとも流石にきくな))



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