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第19話 オバチャンの証言

 


「陸さん、本当に良かったの?」

「ノコちゃん&怜侍いじめ楽しいから」

「……御剣以外の対象が増えた」



龍一君を黙殺した。
真宵ちゃんは気にせず楽しそうに龍一君に問い掛けた。



「で、で、なるほどくんこれからどうするの?」

「そうだなぁ…とりあえず控え室の方に行ってみようか」

「それが得策だね」

「よしっ!じゃあ早く行こう!」



真宵ちゃんの後を追って僕と龍一君は歩き始めた。正門前の警備室で真宵ちゃんは止まった。



「見て!見て!なるほどくん!陸さん!オバチャン、詰所の中で羊羹食べて、お茶飲んでる。“ニッポンのオバチャン”ってふぜいだねー」

「ちょっと“おばあちゃん”寄りな気もするけど」

「確かに」

「あら、アンタ達」



こちらを発見したのかオバチャンが詰所から出てきた。



「どう?あの子が犯人だってナットクした?」

「(くそー……このオバチャンが、あの刑事に証拠写真をあげたんだよな……ん、刑事?…!)陸、写真持ってないの?」

「ノコちゃんに取られた(その上ノコちゃんが『こんなの証拠にならないッス』って言って破り捨てたけど)」

「そう簡単にはいかないか…」

「オバチャンに話聞いたら?」

「そうだね…」



龍一君はオバチャンに向き直った。



「オバチャン、なんで写真のこと教えてくれなかったんですか?」

「ああ。あれ?刑事から聞いた方が、よりスリルがあるかなって。オバチャン、気をつかう方だから。あれ、ここからすぐ左に行ったゲートのカメラが撮ったのヨ。毎日、写真をチェックするのも、オバチャンのシゴトでサ」

「陸、さっきの電話の時に教えてよ」

「龍一君が勝手に電話切ったのが悪い」

「あ…はは……ごめん!!ごめんなさい!!」



黒い笑みで龍一君を見たら、速攻で謝ってきた。



「ほら、早く次聞きなよ」

「あ、うん。オバチャン」

「何だい?」

「その、カメラのことなんですけど……」

「ああ、カメラね。あのゲートをくぐると、センサーってヤツが反応してサ。勝手に写真を撮るワケ。写真を撮った時間も記録されるんだって。オバチャン、そのへんのことはよくわかんないケド。撮った写真は、あそこのコンピュータで見られるから。オバチャン、いつも帰る前に写真をチェックするワケヨ」

「なるほど……ね」



けど流石に荷星さんが知らない訳ないはず。やっぱり何かあるらしい。



「改めて荷星さんを犯人だと思う理由について聞いても良いでしょうか?」

「構わないヨ。この撮影所、どこへ行くにも、必ず、この警備詰所の前を通らなくちゃいけないのヨ。イブクロちゃんがスタジオに行ったのが、午後1時チョイ前。事件が起こったのが、2時半。その間、ここでオバチャンが見たのは、荷星だけ。カメラにもそれが写ってる。これで犯人じゃなかったら、誰が犯人よ」

「オバチャン、とか」

「ぎゃははははははは!面白いコト言うねアンタ」

「ぷっ……あっははははは!!!オバチャンが犯人?……アハハハ!!!」

「陸笑いすぎ……(オバチャンは全く気にもとめていない……)」



流石にその案は思い付かなかった。まぁはっきり言って不可能ではないが。



「ほらほら、次々!」

「オバチャン、被害者のイブクロさん、人気はあったんですか?」

「それはもう、凄いもんだったわヨ」
「(“スゴかった”、か。過去の話なんだな……)」

「あたし、小さい頃“ヒゲ武将”シリーズ、大好きでした!」

「ああ。あれねェ……。良かったよ、ホント、昔はさァ」



真宵ちゃん趣味が渋い……けど、トノサマンも好きだなんて最近の子はよく分からないなぁ……。



「……それが今は“アクダイカーン”だもんねェ。そりゃあ、イブクロちゃん、荒れてもしょうがないよ」



イブクロさん何かあったのか?昔は主役だったのにある時期を境に脇役に回ったし…後で調べてみよう。



「とりあえずこれくらいで良いか。ありがとうございました、オバチャン。また話を聞きに来るかもしれませんが」

「調べたって荷星が犯人なのには変わらないけどネ」

「よしっ!なるほどくん今度こそ控え室に行こう!」

「そうだね」

「控え室はスタッフエリアにあるよ」

「えっとスタッフエリアはあっちだよ、なるほどくん!」



またもや真宵ちゃんは地図を片手に走ってスタッフエリアに行ってしまった。

よっぽど嬉しいんだね。



「さぁ、行こうか龍一君」

「真宵ちゃん暴走しなければ良いんだけど……」





(あ……怜待から着信きてる)
(あの刑事が言ったんじゃないのか?)
(…………ウザいから無視しとこ)
((ドンマイ……御剣))



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あきゅろす。
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