第14話 親子の類似
「御剣検事!事件ッスよ!!」
「これならどう動く!」
「ム……」
デジャウな気がするのはきっと気のせいだ。
「……松山何でここに居るんスか!?」
「今日退院したからに決まってるでしょ、ノコちゃん」
「一人にしておくのは心配だったから暇潰しにチェスに誘ったのだ」
「えええええ!?電話してくれれば自分向かえに行ったスよ!!」
「コラ、ノコちゃん。公務中でしょ!そんなこといっちゃ駄目だよ」
「陸の言う通りだ。次の給与査定どうなるか分からんぞ」
「ひいぃぃぃぃッス!!」
「…ノコちゃんの給料下がったの怜侍のせいか」
……しかし、怜侍も仕事してるのかってぐらいのんびりだよね。
あれから約2週間近く経ち、事件は落ち着きを見せた。小中は殺人で、梅世さんは盗聴と共犯で、ついでに裁判長と怜侍には罰を喰らって貰った。もちろん権力を使わせて貰った。龍一君を有罪にしょうとしたから当然だ。
法廷に居た千尋さんの件は龍一君曰く、真宵ちゃんが《霊媒》とか言うのをしたらしい。簡単に言えば真宵ちゃんの体に千尋さんの霊が乗り移った、みたいな。
「ねぇ怜侍」
カツンと音をたてて、僕は駒を動かした。
「何だ?」
怜侍も駒を動かした。僕も駒をすぐに動かした。
「僕が本気でチェスしてると思った?」
「なん…だと」
「悪いね、僕むかーしからやってるんだ。だから、負けるも勝つも僕次第だよ」
怜侍が僕が動かして後の次のターンを動かせば、チェックメイトだろう。だけどね、そんなの気がついてたよ。僕はわざと音をたてて駒を置いた。
「チェックメイト」
「Σぐおぉ!!」
「僕の勝ちだよ、怜侍」
「な…なぜ手を抜いていた?」
「怜侍が僕に勝てる訳ないもん。信さんより僕強いし★」
「父と?…何年前の話だ」
「文句なら信さんにどうぞ。小学生の僕にチェスの極意を教え込んだんだから」
それが今でも役に立ってる。
確か《ロジックチェス》って信さんは呼んでたはず。簡単に言えば疑問と疑問を合わせて真実を見つけ出す《ロジック》を使った尋問みたいなものだ。更に言えば隠している事を誘導して自ら吐かせる、と言うことらしい。
「…怜侍ってこうしてみると信さんの面影あるよね、性格や内面は微妙に違うけど」
「……私と父は全然似ていない」
いやいや、《ロジック》使う時点で十分似てるから。でも、怜侍は今は使わないようにしているみたいだ。全てを有罪にするために。
「うん、やっぱ似てない」
「…先程似てると言わなかったか?」
「今は龍一君の方が信さんに似てるかなぁ…裁判のやり方がとってもそっくり。そう言えば弁護士だし千尋さん知り合いだったのかも…」
「Σなっ!?」
「ま、いっか」
「そこで終わらせちゃうんスか!?」
「あれ?ノコちゃんまだいたの?」
「ひっ酷いッス…」
「御剣検事に指命が来たんッスよ!」
「「それを早く言え!!!」」
怜侍は急いで立ち上がり、脱いでいた上着を来た。
「陸は成歩堂の所にでも居た方が良い。一人にさせるのは流石に心配だ」
「そーだね、まだ腹の打撲痛いし。じゃ、行くね」
「………歩いていく気ではないだろうな?」
「……良いじゃ「糸鋸刑事、タクシーを呼んでくれ」
「了解ッス!」
「Σえぇ!?僕の話無視!?」
「成歩堂と同じく昔から陸は無茶をするからな。少しは大人しくしていろ」
「むう…」
ムスっとした顔で怜侍を見てやった。心配してくれるのは嬉しいが、理由が気に入らない。
ちょいと弄ってやる。
「分かった。大好きな龍一君と楽しく会話してくるね。怜侍難しい事ばかり言うからつまらないし★怜侍に勝ったの龍一君だし、じっくり話聞こうかなぁ。しかも、怜侍まともに誘ってくるのチェスぐらいだから、龍一君と買い物に行く方が楽しいも「それ以上言っちゃ駄目ッスゥゥウ!!!」
「えぇ…だって本当のこ「松山!!御剣検事見るッス!!!」
くそっ、もう少し言いたかったんだけど。
怜侍はあからさまに落ち込んでいる。しかも、なんか「成歩堂龍一…許さん」とかブツブツ言ってるし。
「じゃ★龍一君のとこに行くね!」
怜侍が何か言う前にドアを閉めた。
(少しは素直に心配してくれても良いじゃないか…)
(み、御剣検事?)
(…成歩堂の所にやるんじゃなかった)
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