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第13話 それぞれの想い

 


「………」



あれ?此処何処だ?
僕は確か……龍一君の裁判に行って…無罪判決を聞いて…………あ、そういえばまた気絶したんだ。
ベッドがフカフカで暖かいからもう一回寝ようと思ったが。うん……なんか手を握られてる気がする、しかも両手を。

ベッドの両脇に目をやると、右手を握っているのは龍一君だ。今は寝ている。
オイ、龍一君重たいぞ。

その隣には龍一君に寄り掛かって寝ている真宵ちゃんも居た。

左の手を握っているのは………うん、握るのは良いけどなんで恋人繋ぎで握ってるのかな君は。流石に恥ずかしいんだけどっ///いや、嬉しいけどさ!!

その隣はノコちゃんが壁に寄っ掛かって眠っていた。

取りあえず握られてる手が気になって仕方がない、特に左!
ねっ寝るに寝れない!!



「……でも、敵同士がねぇ」



先程まで戦っていた同士が仲良く皆寝てるのだから微笑ましいものだ。まぁ先程かは怪しいが。

しかし、勝手に恋人繋ぎで握ってる怜侍は実に穏やかな顔で寝ている。悔しいが、物凄くカッコイイ。
ホレてるなんて絶対に言ってやんない。

取りあえず寝ようと目を瞑った時だった。誰かが起きた気配がした。
うん、寝たふりをしよう。



「……寝過ぎたな」



怜侍ぃぃい!?起きるタイミング良すぎですが狙ってないの!?



「……陸」



握っているのとは逆の手で、僕の頬に触れてきた。

ちょ!?///何でそんなカッコイイことするの!?///
寝たふり無理だ!!絶対にニヤける!!今起きた振りしよう、うん!!!

起きたいような起きたくないような気もするがうん、起きよう。ゆっくり目を開けた。



「!……陸!?」

「………よぉ、怜侍」



ふにゃっとした笑い方になったが、笑顔を返した。じゃないと、内心焦ってるのバレる!!

つうか………顔近い!!///顔の手離せ!!



「丁度1日寝ていたな」

「また1日目覚めなかったんだ」

「全員仕事ややるべき事を終わらせてから来たから、疲れが溜まってたらしいな。……陸」

「ん?」

「……すまなかった」



うん、謝罪は良いから手を離して顔を遠ざけてくれ。流石に心臓が持たないって!!!////



「成歩堂に聞いた。小中にやられた、と。無敗は崩れたが…今回は成歩堂に感謝しよう。あのまま小中を逃がしていたら、私が後悔していた」

「大丈夫、大丈夫。僕が龍一君にあれ以上の怪我をさせたくなかっただけだし」

「……陸、いちよう女なんだから男に敵うわけないだろう?無茶をするな。成歩堂が物凄く気にしてだぞ」

「……とりあえず、いちようを撤回しやがれ」

「…時々口調変わってないか?」

「気にしちゃ駄目だよ、怜侍」



とりあえず、頼むから誰かが起きる前にこの距離をどうにかしてくれ!!///



「強い力での脳震盪と出血、打撲。三拍子揃ってる中で走ったり、大声を出せば気絶するのは当たり前だ」

「元は怜侍が小中を無罪にしようとしたせいでーす!」

「ム…むぅ」



まだ多少クラクラする。小中の奴どんだけ馬鹿力なんだ!

ようやく怜侍の手が顔から離れた。残ね………いやいやいや、不味いから!!あの体制は不味いから!!!

だけど僕の握っている左手は離す気はないのか、忘れているのかは定かではない。



「………」

「………」



沈黙。そう言えば法廷で散々怜侍を攻撃した気がする………ま、いっか←

多少居心地の良い沈黙に僕は眠気に誘われて、素直に従った。























「………」

「すぅ……すぅ……」



また寝たらしい陸に布団をかけ直した。本人は気が付いていないだろうが、顔色は良くない。疲れも貯まっていたのだろう。

私より先に来て、陸の手を取って寝ていた成歩堂に少しだけムカついた。昔から成歩堂と陸は仲が良かったから当たり前なのだろうが。

彼女がなついていた綾里 千尋の殺人事件、徹夜して探していたであろう事件の手掛かり、陸の目の前での親友の成歩堂の告発に怪我、気絶した後に成歩堂の為に無理して法廷にまで来た。
息つく暇もない連続に疲れが溜まるのは当たり前だろう。綾里 千尋の死に涙を流す暇さえ無かったのだから。

今更思えば彼女を追い詰めている原因は私自身である。助けたかった陸の声にさえ私は耳を傾けなかった。



「………陸」



このまま狩魔流のやり方で本当に良いのだろうか…犯罪者は許せない。だが、その有罪判決で苦しむ人達がいる。真実を隠していく。
今の私には決められまい。

ただ、陸が苦しむ姿は見たくない気がした。



「………御剣」

「!…起きてたのか」



いつの間にか成歩堂が顔をあげていた。綾里 真宵は起こさないように、寝たままの体制でだが。



「松山の事気になるのか?」

「………」

「別に良いけどさ…ぼくは松山の事好きだし(親友としてだけど)」

「なっ!?」

「……頑張れ、御剣(別に松山が気にしてるのが御剣だから問題ないと思うけどね)」



次の私の言葉を遮るようにまた成歩堂は顔を伏せた。
陸は男女問わず人気がある。本人は気が付いているのかすら分からないが。
本音はこれ以上陸に誰も近付いて欲しくない。

私は自身のこれからについて考えながら、陸の手を強く握り、髪を撫でた。





(陸にホレている自覚はある)
(怜侍の気持ちを変えたい)
(なんか松山と御剣見てるこっちがじれったい)



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