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第12話 決着

 


「あとは、被告人・成歩堂龍一に判決を言い渡すだけだ……」

「ふむぅ……」



怜侍の声が聞こえた。間に合った!ドアを開けた瞬間僕は言い放った。



「「異議あり!!!」」



全く同時に龍一君と重なった。突然来た僕に全員が驚いている。まぁ…なんせ頭に包帯巻いてるからなぁ。



「陸さん!?」
「松山!?」
「陸!?」
「キミは!?」

「なっ何だね!!突然入ってくるんじゃない!!」

「失礼を承知でここに来ました!」

「一般人はすぐに…」

「所轄課の刑事、殺人の初動捜査担当、松山 陸です!この事件のもう一人の担当刑事になります」

「なっなんだってぇぇえ!?」



小中が驚きの声をあげた。ふん、人の話も聞かずにやる馬鹿が悪いんだ!



「それは、それは…でなんのようだね?」

「判決にはまだ早いです!裁判長!!」

「何故だね?」

「僕は2日前、成歩堂龍一と共に小中 大の事情聴取をしにいきました。成歩堂龍一も綾里 真宵の弁護士を勤めていたため、話を聞きたいと言ってバラバラで無闇に話を聞くよりはと同行を許可しました」

「ほぉ」

「その際、小中は殺人をしたと認めるような供述をしました。そして、証拠隠滅のためか僕達を無理矢理追い出そうといたしました。その際、僕は小中に頭と腹を殴られ、気絶したんです。小中は立派な公務執行妨害及び傷害罪を犯しました。その際の会話も録音いたしております。これでもこの男が事件に関係無いと言いきれますか?」

「それは事実かね?」

「成歩堂龍一に聞いてください。それに小中の顔を見れば分かるでしょう!!」



ビシッと小中を指差してやった。真っ青な顔をして、こちらを見ている。



「それに傍聴人の皆さん。この検事は、小中 大の存在を知りながら隠しておりました。本裁判では裁判長ともあろうお方がそれを問い詰めることなく始まりました。これはおかしいと思いませんか?」



傍聴人席から一斉に罵声が飛び交った。裁判長も怜侍も真っ青な顔になった。



「成歩堂龍一弁護士をこのまま公平な裁判をせず有罪とするならば、僕はこの事を全てマスコミの方へ流させていただきます」

「「「なっ!?」」」

「しかし、この裁判結果はもう決まっている。そうだよね?龍一君…いや成歩堂弁護士!最後の止めを小中にさせ!」

「あ………あぁ!小中!!!」



ダンッと龍一君は机を叩いた。そしてビシッと、小中を指差した。



「さっきの証言異議あり!!

「なっ!?」

「これを見てください。血文字で"マヨイ"……」

「ハッ!今となっては、意味のない……」

「問題は、これが領収書のウラである、ということです」

「な、なんだと?」

「裁判長。その"領収書"には何が書いてありますか?」

「ふむぅ……!!"ガラス製の電気スタンド……"発行日は……事件の前日です!」



小中と怜侍が更に青くなった。龍一君はそのまま続けた。



「……つまり!小中さん。あなたが綾里法律事務所に侵入した9月アタマには……あのスタンドは、まだなかったんですよ!」

「ホワァァァァァァァァァァァァァァァァァット!」

「どうですか?小中さん。まだ、言い逃れ、できますか?」

「………ノー・アイ・キャント……」

「さぁ、……裁判長。あなた方に、いくら強い圧力がかかっていても、こうなった以上、ぼくを有罪にすることは、できないはずです」

「!………わかりました……。それでは本「異議あり!!」



今度は誰だよ!?もう小中が犯人で良いじゃん!
異議を唱えたのは怜侍だった。



「そこまでだ……成歩堂 龍一ッ!」

「……え」

「この黙れフリフリ!!お前も分かってんだろ!!!」

「Σくっ……弁護人の意見は、たしかに一理ある……しかし!成歩堂 龍一が無実であるという決定的な証拠も、ないのだ!」

「おい、コラ。怜侍、貴様よっほど検事止めたいらしいな!!」

「Σ………そこで、あと1日、判決を待ってもらいたい。もう一度、調査をしなおす時間がほしい」

「ほ、ほぅ……」

「ざけんな!!インチキ検事!!証拠隠滅、証拠でっち上げする気だろ!!!」

「小中の有罪は、明白です!これ以上、審理をのばす必要は、まったくありません!」

「ふむぅ……御剣検事、いかがかな?」

「しかし、小中氏を起訴するのは、私たち検察側だ。キミの推理が正しいかどうか、1日、調査したい」

「裁判長!!僕の公務執行妨害及び傷害罪もあるんです!!小中は他の罪もあるんですよ!!!」

「わかりました。成歩堂くんの異議を却下します!」

「「えええええ!」」

「成歩堂 龍一の審理は、明日まで延期します!」

「りっ龍一君!!!」



今小中を逃がしたら二度とチャンスはない。また助けられないの?………信さん!!!



「ミスタ・サイバンチョ!ぼかぁ、もう帰っていいのかな……?」

「もちろんかまいません。……ごくろうさまでし「ざけんな、小中!!!公務執行妨害及び傷害罪で留置所行きに決まってんだろ!!!」……そうでした」



くそっ……くそっ。殺人で捕まえられないのかよ!!!千尋さんの敵打てないのかよ!!!



「証人、待ちなさい!」



だれと思い顔をあげれば、そこにいたのは明らかに真宵ちゃんの格好をした千尋さんにみえた。



「なるほどくん。このメモを読み上げなさい」

「千尋さん、これは……?」

「ち…千尋さん!?」

「大丈夫よ、陸さん」



ニコッと笑った彼女は間違いなく千尋さんだった。



「裁判長。……ちょっとよろしいですか」

「成歩堂くん。……あなたもなかなかシツコイですねえ……」

「当たり前だろ!こっちが妥協したら有罪判決になんだよ!」

「これからぼくが読み上げるものを聞いていただきたい!」



龍一君は静かに千尋さんから貰った紙の内容を読み上げ始めた。どこかで聞いたことのある名前が、並んでいた。たしか……政財界の有名人たちの名前だ。その途中だった。



「スタァァァァァァァァップ!や、や、やめろ!やめさせろォッ!……な、なんでキサマが……そのリストを持っているんだ……?」

「……証人。あなたがここで罪を認めないのであれば、このリストは、マスコミに公表されるでしょう」

「!!…………認める…認めるよ……ぼかぁ……あの《考える人》で……ミス・チヒロを………殴ったんだ」



千尋さんは静かに言葉を放った。



「……以上です、裁判長」



裁判長は木槌を叩いた。怜侍は真っ青な顔をしていた。



「どうやら、これ以上の審理は必要ないようですね。成歩堂くん」

「はい」

「また、やってくれましたね……」

「いやあ……たまたまツイてただけですよ(スゴ腕の霊が……)」

「……ふむぅ……では!弁護人……いや、被告人成歩堂龍一に、判決を言い渡します。無罪!!!……では、本日はこれにて閉廷!」

「よかっ…た」



限界が来ていた僕はその場に倒れて意識を失った。





(倒れる前に怜侍が僕の事を呼んだ気がした)

(陸っ!!!)
(松山!?)



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あきゅろす。
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