第9話 手がかりを探して
「ハロー★龍一君」
「なんで松山が居るの!?」
「仕事と称して梅世の話を聞きに来た。今日は龍一君に協力出来るよ。ほらほら、梅世さんが待ってるから行くよ!」
「わっ分かったから押さないで!!」
留置所の面会室に入ると既に梅世が座っていた。
「あらぁ!こーんなムサっ苦しいところまで、わざわざ会いに来てくれたのねぇ!梅世、カンゲキしちゃうなぁ。……って、フザけてんじゃないわよ!なんなの?梅世をワラいに来たってワケ?」
「い、いや。ちょっと聞きたいことがあって……」
「あいにくこっちには、聞かせたいことなんて、ないの。とっとと帰んな!こぉの、ギザギザアタマぁ!」
「(……やれやれ)……あそこの看守さんがビビってるよ」
「………それでぇ?弁護士さん。梅世に聞きたいことって、なぁに?」
「(とりあえず、そのネジれた性格のことを聞きたいよ……)」
どうやら今日の法廷のせいで龍一君の事を嫌いになっているらしい。僕が話してみようか。
「梅世さん、お願いします。本当に今貴方の力が必要なんです」
「あ!あのときの刑事さぁん!!梅世、貴方になら協力しちゃうなぁ」
龍一君に笑いかけると苦笑いで返された。梅世は完全に僕の事男だと思ってるらしい。
「いっしょにホテルに止まっていた"男"のことなんだけど……」
「………」
「とりあえず、そいつの話を聞いてみたいんだ。どこにいるんだ?……教えてくれないかな?」
「……やよ」
「龍一君、代わって」
「あ、うん」
昨日の間に調べあげたのを梅世の前に出してやった、写真を。
「こいつだね?君と一緒にチェックインしたのは?ボーイが楽しそうにはいてくれたよ。君が吐かないなら、検事が隠していた事も含めてマスコミに流す」
「!………分かったわ。梅世の…負けよ」
「松山いつのまに!?」
「情報収集は僕の得意分野さ。さ、梅世さんお願い」
「その人……梅世の上司。情報処理会社《コナカルチャー》社長、小中 大」
「情報処理会社、って?」
「そうね……。大きな探偵会社、とでも考えればいいわ」
「……事件のあった夜、君の部屋に一緒にいたのは、この男だね?」
「…………しゃべるの、コワい……梅世、あの女弁護士みたいになりたくないよぉ……」
「そうか……梅世さん小中に脅されたんだね」
「……わかった。詳しいことは本人から聞くよ。コナカルチャーの場所を教えてくれないか」
「………刑事さん」
「何?」
「気を付けてね、小中何でもしてくるから」
「大丈夫だよ。梅世さん、ありがとう。恐い中話してくれて。僕はあいつを逃がすつもりは無い。行こう、龍一君」
「うん、じゃあありがとう梅世さん!」
梅世さんに手を振って僕達は留置所を出た。
「とりあえず、僕は小中の情報をもっと集めてくる。龍一君、小中の所には一緒に行くから星影宇宙ノ介の所にも行っておいで」
「分かった!また後で松山」
「……一人で無茶しちゃ駄目だよ?龍一君」
僕の呟きは聞こえなかったと思う。
(分かってる、僕が動いても意味は無いって事ぐらい)
(それでも龍一君や怜侍を見捨てられないんだ)
(親友と大切な人だから)
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