SS 番犬先輩!2 ストーカー兼不法侵入する先輩/シャワーヘッド/ペニス攻め 鍵を回して、そろり、と部屋に入る。聞こえてくるのは水の音。部屋の鍵を閉め、まっすぐソファーに向かう。いつもはそこで寝ている愛しい人はおらず、ただ脱ぎ散らかしたままの服が無造作に置かれていた。 その服を手に取ると顔を埋め、桑ツガルは思いっきり匂いを嗅いだ。目を閉じ、そのまま、傍から見れば麻薬を吸い込んでいるかのような、恍惚とした笑みを浮かべて。 桑ツガルはストーカーであった。バイト先で出会った無気力型大学生に一目ぼれし、毎日家から大学まで、大学からバイト先、バイト先から家までのボディーガードを務めた。シフトが入って居ない日には、時には大学の構内まで入り、彼に近づく害虫を排除する仕事をしていた。 190近くの長躯は目立ちはするが、へらりと笑うと幼い一面、それと人懐っこい性格で、周りの人間は特にツガルに対して警戒心も示すことはなかった。バイト先では「ワンコ」とあだ名をつけられたくらいだ。 恐らく無気力型大学生を自認する愛しい恋人も、最初はまったく油断していた。そう、飲み会の後、睡眠薬で眠らされ、犯されるまでは。 それでも彼がツガルを恋人という立ち位置をくれたのは、初めてのセックスがあまりにも気持ち良かったためである。だがツガルからしてみれば、自分にその位置をくれたことは「俺がこの可愛い人を守らなきゃ!」という心に火をつけるものだった。 そこからツガルの行為はエスカレートしていく。部屋に侵入者がいないか、また侵入されやすくないかを抜き打ち訪問し、勝手に作った合鍵で部屋に入るのは勿論のこと。ベッドでは無くソファーで居眠りする愛しい彼が泥棒やほかの痴漢などに手を付けられていないか抜き打ちチェック。また施錠せずに寝ているときはお仕置きも行う。 桑ツガルにとって、この瀬野ヒロトという人物はそれほどまで可愛く、愛しい存在なのだ。できれば連れ去って一目のつかないところに監禁して朝から晩まで共に居たいくらい、愛おしい存在。さすがにそこまでの経済力をフリーターであるツガルには持ち合わせていないので、自称「番犬」という位置に甘んじているが。 こんな、まだ温かい服を脱ぎ散らかして、そのままシャワーだなんて、男を誘っているとしか思えないよヒロちゃん!! 匂いを堪能したツガルはようやく服から顔をあげ、綺麗に畳んでベッドの上へ置き、水音が流れ続けるシャワールームへ身体を向けた。 音をたてないように扉を開けると、擦りガラスの向こうに立ち、おそらく頭を洗っている姿が分かる。しばらくするとキュッと捻る音とともに、シャワーからの音が強くなる。 扉を閉め、擦りガラスの戸を開けると、髪に付いた泡を流していて、背後の侵入者に全く気付いていない。 湯気の立つ中。 浮いた背骨のラインに水と泡が流れて行く。 それが異様にいやらしく見えて。 シャワーが当たるのも気にせず、後ろから抱きついた。 「っ!!!?」 「ヒロちゃん・・・」 驚き、息を詰めるヒロトの熱い項にキスを落とす。 「はっ!?え、ちょ・・・先輩っ!?」 熱い息をかけられながらようやく侵入者の正体が分かり、ヒロトは目を剥いた。 「あんたまた勝手に人の家に・・・!!」 「ヒロちゃん、ヒロちゃん」 キュッと前に回した指でまだ柔らかい乳首を抓む。シャワーを止めようとしたヒロトはそれにびくっと身体を震わせた。 くに、くにくに、としばらく捏ねたり抓んだり、時折、胸全体を揉むように手を動かせば、ヒロトの唇が震え、熱い息が吐き出された。 「やめ、ちょ・・・」 逃げようと身体をわずかに傾ける。だがツガルはそれを許さない。刺激に硬くなりだした乳首をきゅううぅっと強く抓れば、「あぁぁ!!」と頭を振りながら体を反らした。 れろぉ、と反らされた首筋を舐め、舌を這わす。ぞくぞくと身体が震え、乳輪をなぞる手を止めようと、震える手が掴んできた。 だがヒロトは元から敏感体質で、乳首だけで力が抜けてしまっているのだろう。その手に全くと言っていいほど力が入っていない。 もたれかかる様になった身体を支えながら、右手を下していく。 「っぁ!」 かすかに立ち上がりはじめたペニスを緩く扱くと、蜜を流し始めた。 「やめ、せんぱ・・・」 荒い息のまま手を抑えようとするが、逆に手を掴まれる。ツガルは未だにお湯を流し続けるシャワーヘッドを手に取り、ペニスに直にあてる。 「っきゃう!!」 「かわい・・・気持ちいい?」 「あ、らめ!つよすぎ、て、あぁぁ!!!」 むき出しにした亀頭に直に当てると、目を見開いて涙を流した。 そのままくちゅくちゅと鈴口を指の腹で撫で、乱暴なほどに全体を扱きあげると、高い声を発して、びゅるるるっ!と白濁液を吐き出した。 「あ、あ・・・」 「ヒロちゃん・・・」 シャワーをごとりと落とすと、ゆっくりと尻たぶを撫でる。 身体を震わせるヒロトに、その先の行為を行おうとして、そして。 ヒロトは床に崩れ落ちた。 無言の空気が部屋を満たす。 ソファーにはTシャツに半ズボンと言う、ラフな格好のヒロトが横たわり、氷枕の上に頭を乗せて、冷水で絞ったタオルで顔を冷やしながら真っ赤な頬で息を吐き。 床ではトランクス一枚の姿で正座になり、団扇を仰ぐツガル。 長い時間シャワーに当たっていたこと、そしてツガルの行為で体中の血の巡りが良くなったことによって、ヒロトは倒れるほどのぼせ上ってしまったのだ。 ツガルの服はびしょ濡れで、現在乾燥機をかけている。トランクスはヒロトのものだ(勝手に拝借した)。 横になってから無言のまま、顔にタオルを当てるヒロトに、恐る恐る声をかける。 「あ、あの・・・ヒロちゃん・・・」 「あ゛?」 今まで聞いたこともない程、ドスの利いた声から相当怒っていることが伺え知れ、ツガルは再び口を閉ざしてしゅんと頭を垂れた。 この状態にしたツガルもさすがに怒られて当たり前だと分かっている。だが怒鳴るのでもなく、ただ無言で怒りを伝えてくるこの空気に耐えられなくなっていた。 ちらり、とヒロトを見る。 真っ赤に上気した頬。首筋に伝う汗。タオルを抑える指が細い。 熱い息を吐き出す、わずかに開かれた赤い唇。力なく投げ出された足。 まるで興奮したまま置かれた、まな板の上の鯉の様で。 その姿に欲情したことがばれて、遂にヒロトにキレられ、泣きながら謝るまで、あと数秒。 END [*前へ][次へ#] [戻る] |