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君のキモチ

両想い?/本番






彼は一目見た時から忘れられない存在だった。
一見して硬派なイメージがあったのに、笑うと人懐っこい印象を与え、口を開けば冗談めかしたことを言い、ぐっと親近感を与えてくる。頭の回転も速く、どんな話も合わせてくる翔太君は、誰からも好かれていた。
男子校の、野球部キャプテンで、次期生徒会体育部部会長・・・候補。それはまあ、今度の生徒会選挙で決まるが、彼で決まりだと学校中では噂になっている。
頭脳明晰で、クラス委員長までこなす、その仕事ぶりは教師陣からも、生徒からも信頼がおかれている。

だけど、誰も知らない。彼は実はものすごくストレスを溜めやすい。小学校の時、家には彼のストレス発散用にサンドバックが置かれていたそうだ。実際にストレスを暴力に変えてしまわない為の、両親の計らいだった。
小学校のころからピッチャーをしている彼にのしかかるプレッシャーは想像できるものではなく、そこから生まれたストレスで一度、試合中にバッドでベンチを破壊したことがあるらしい。

中学校では多少抗体がついたのか、今の彼が出来上がり始めた。なんでも中学校では生徒会副会長をしたとか。
だけど高校は全寮制で、それまで愛用していたサンドバックは持ち込めず、出来たはずの抗体が途端に消え失せた。1年の4月の段階では、常にイラついているかのような表情をしていた。

そんな時に僕は彼に会った。一般生徒は6人部屋で就寝する決まりだったのだが、学業や部活動での成績優秀者は2人部屋に移ることができる。1年生のうちにその部屋に入れるのは、一番最初の実力テストで全教科満点を取れた者だけとのこと噂だったが、僕は満点を取った。部屋に入ったのは5月だったが、そのときにはもう既に彼はいた。満点を取ったのは僕と翔太君だけで、彼は一足先に部屋を移っていたのだ。

クラスは離れていて、僕は知らなかったが、彼は僕を知っていた。新入生代表で誓いの言葉を別の生徒が読んだあとに、記念品を授与されるのだが、その記念品を受け取るという地味な役だった僕を、彼は覚えていたのだという。

そして僕は翔太君をよく知ることとなる。
部屋に入って適当にあいさつを交わし、荷物を片づけると、突然キスをされ、押し倒された。驚く僕を組み敷き、処女を奪われた、それが5月3日。ゴールデンウィーク1日目だったから確かだ。しかもそのゴールデンウィークは1週間丸々休みで、僕たちは部活と食事以外は常に身体を繋げていた。

そう、今この時のように。

「朝也のここ、ぐっちゃぐちゃ」

そういって翔太君は僕のモノをつかみ、上下に扱きあげ、それに合わせて腰を突き上げてきた。散々解されて敏感になったアナルと、翔太君にフェラやら手こきやらで、挿入前に2度射精を迎えて敏感になったソレを同時に弄られると駄目だ。

「や、あぁ!さわら、くうぅ、んーっ!!」

四つん這いのままで、恥ずかしい声を立てて卑猥な音を部屋に響かせ、獣のように交わっているが、咎める者は一人もいない。防音完備の部屋のせいもあるが、あいにく他の部屋の者たちも、一般部屋に住んでいる友人のほとんども、帰省しているのだから。

シーツに頭を押し付けて声を抑えるが、翔太君には一切の手加減も無い。ガツガツと責め立てながらも、時折カリで前立腺をゴリゴリと押しつぶすものだから、我慢したくても漏れ出てしまう。

「ひぐ、ぅあああ!」
「っ、締まる・・・!」

グチュグチュとペニスの先端を捏ねられ、前後の刺激に僕は達した。そのまま締め付けてしまったため、直後に僕の中で熱が弾ける。
はぁはぁと息を吐き出しながら、ベッドのサイドに置かれている時計に目をやれば、3時半を示している。翔太君が部活から帰ってきてからこうして繋がってから、実に2時間たとうとしているのだ。

「どうした?」
「、ぁ!」

腰をつかまれ、揺さぶられて息を詰める。
正直、僕はもうこれで3回出して、もう体力的に限界だ。だが完璧に体育会系の翔太君はまだ1度しかイってないため、固いまま。
満足していないことなんか、嫌でもわかってしまう。

「あー、ちょっと疲れたか?」

ちゅ、と背中にキスを落とされ、ゆっくりと抜かれる。
ヌプププ、と排泄感に背中を震わせながら、息を吐き出す。完全に抜けきれば、僕はカクン、とあげていたお尻を落とした。
だが翔太君は僕の身体を横向きにし、力の入らない足を持ち上げ、グププププと再び侵入していた。

「あ、ぅぅぅぅ・・・も、無理ぃ・・・」
「わかってるよ、ちょっと休憩な」

ぎゅうっと後ろから抱きしめられる。完全に密着し、目に回された手で乳首を弄られる。

「やぁ、ん!」

クニクニクニと捏ねられれば、じれったい様な薄い快感に頭を振る。そんな僕に翔太君は小さく笑い、しばらくしてようやく手を放してくれた。
頭の下に置かれた腕は抜かれ、その代わりに枕が差し込まれる。反対の腕はブランケットを僕のお腹にかけて、そのままシーツをつかんだままの左手に重ねられる。
その一連の動きは、普段ならあまりなんとも思わないけれど、今は挿入されたままだ。身じろぎひとつで、未だ硬いままのものを感じてしまう。

「起きたら、続き、な?」
「ぅうー・・・」
「ごめんな、今日はもうないけど、明日からまた試合だからさ」

そう言われたら僕は何も言えず、小さく頷くしかなかった。

入学式の時、翔太君は僕を見てムラムラとした下半身の疼きを感じたそうだ。こんなに格好良いならさぞモテるだろうと思う(実際よく校門で待ち伏せされてる)が、彼は僕と出会うまでセックスをしたこともなく、自慰も事務的に、しかも勃起した時のみしかやってこなかったそうだ。
そうして僕と同じ部屋になったことに喜びが爆発して、押し倒して感情の向くままに抱いたら、どうしたことか、それまで溜まっていたストレスが綺麗に無くなったそうだ。

付き合って下さい、と告白されたのは、今みたいに奥に出されて放心している時。混乱する頭で急かされて出した答えは「うん」という簡潔なもの。
翔太君にはそれで十分だったらしく、結局去年、彼は同じ時期にある試合ぎりぎりまで僕とつながり続けた。

彼にとってこのセックスはストレス解消が1番の目的なのだと思う。あり得ないくらいに気持ち良くされて、頭がイカれてしまうと思う位に激しいものだけど、翔太君はセックスによる疲れを一切見せない。
1時間前まで4時間にも及ぶセックスをしていたとしても、けろりとした顔でマウンドに立ち、ノーヒットノーランで完投するのだ。むしろセックスした後の方が好成績だ。

だけどちゃんと僕のことを大事にしてくれるから、文句も不満もない。最初は強姦まがいだったし、告白の返事も無理やりっぽかったけど、結局は僕も翔太君のことが大好きなんだ。

「・・・翔太君、」
「んー?」
「おやすみ・・・」

小さい声でそういうと、瞼が完全に落ち、意識がフェードアウトする。

「、ん、おやすみ朝也」






寝息を立てて眠る、朝也をじっと見つめて、溜息を吐く。
そしてそのまま、俺も目を瞑った。

ごめんと、呟いて。



END・・・?



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あきゅろす。
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