テニスの王子様
5
「……学校?」
まだ眠気が残っているのか、菊丸は虚ろな瞳で貴女を見つめた。
「そうだよ!学校だよ!今から行けば、午後の授業は出られるかも」
菊丸は立ち上がろうとする貴女の腕を掴むと、己の胸元に抱き寄せ、耳許で甘く囁いた。
「美穂、今日はもうサボろう」
「ダメよ!だって部活があるんでしょ?」
貴女は菊丸の腕の中で顔を上げ上目遣いで見つめた。
「部活は出るよ。でも今は、こうして美穂と一緒にいたい」
「英二……」
貴女は菊丸の背中に腕を回すと緩く抱き締めた。
「俺達、幼なじみで良かったよね」
「うん、そうだね」
「俺の初恋は美穂なんだよ」
菊丸は貴女の瞳を覗き込みと額に口付けを落とした。
「私の初恋も、英二なんだからね」
「うん、知ってる」
「英二……大好きだからね」
「俺も好きだよ」
そう言って笑った菊丸の顔が、いつもよりカッコ良く見えた。
幼なじみ……二人の絆は、出会った時から今もなお続いている。
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