短編 雨に打たれた↑の続編 雨に打たれた 最近の悠人はとても疲れた顔をしている。 理由はわかっている、1ヶ月程前に転校してきた永井と言う男だ。 調べた所によると前の学園で暴力事件を起こし退学になったらしい。 しかも、被害者は体の半分が機能しなくなり車椅子を余儀なくされ、喋ることすら困難だと言う。 (このままだと悠人の身が危ない。) そう思うと居ても立っても居られない。俺は悠人の部屋の合鍵を取ると急いで駆け出した。 「悠人…」 早く会いたい、今は只々そう願った。 「雨降って、傘がっ…」 そう言えば、外は雨が降っていた。それはもう大豪雨並みのマシンガン見たいな速さで降り注いでいる。 今出たら確実に制服がびしょ濡れになるだろう。でも悠人の為ならずぶ濡れになったって関係無い。 そんな時、俺は思いだす。 悠人と俺がまだ本当に仲が悪かった時の事、そして始めて悠人に惹かれた時の事。 告白したのは雨の日だったってことと、お互いの気持ちを伝えあった初めて日でもあるということ。 その日から悠人無しでは居られなかった、常に隣に置いておきたかった。 多分この願いは直ぐに叶うだろう。 実は他の生徒会連中が、会長が生徒会室でセフレを連れ込んでいて仕事が出来ないと噂をたて、リコール運動に励んでるらしい。 会長を降ろされる準備は一刻と迫っている。 味方は俺と親衛隊、顧問だけしか居ない。自分達の人数ではこの学園にのたうち出来ない。 「くそっ…早く悠人に会いてえ」 会って苦しいくらい抱きしめてやる そう心に強く刻むと、今度こそ勢い良く飛び出した。 (俺はお前の側にいる) きっと見捨てないよ、悠人 [*前へ] |