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DEAD PERSON REVIVE
第5話『用無し』
平太郎は直ぐに立ち上がり男に銃をむける。
鉄の塊に勢い良くぶち当たったにも関わらず、何事も無かったかの様に男も立ち上がり、その醜く尖った牙で平太郎を威嚇する。

銃で撃っても、人間なら死ぬ位の勢いで車にぶち当たっても死なない男……何度も言うが最早人間ではない……。

ジリジリと間合いを詰め、平太郎に近づく…


しかし…


「ここまでだな……。」


平太郎は不死身の男に諦めたのか、そう呟くと構えていた銃を下に下ろした。


それを待っていたかの様に男が平太郎に飛びかかる!!

しかし其を平太郎は避けようとしない。
そのまま体に男が掴みかかり更に首を掴んだ。

が、次の瞬間!!


「おいくそ野郎!!
太陽の光は好きか?」


平太郎が男に向かい言葉を投げた!!
それと同時に急に男が苦しみ出し平太郎の前に倒れこんだ。

「グェアァァァァッ!!」

この世の物とは思えない悲痛な叫び声を上げ、平太郎の前でのたうち回る。

それを横目に平太郎は空を見上げる。
雲一つない空はまさに快晴。
この廃墟の街には似つかわしくない。

平太郎の立っていた場所は影がなく太陽の光が燦々と降りかかっていた。
それを平太郎は気持ち良さそうに浴びるが、男にはその光が有毒のようだ。

苦しみのたうち回り、やがて事切れた。


ピクリとも動かなくなった男に平太郎は銃をむけた。

「念のためだ」

そう言うと…

バアァン!

静寂の街に響き渡る銃声。

音を立て発射された弾は男の頭を貫き、男は完全に生き絶えた。





――――





1バトル終え平太郎は袋の中身を確認していた。

山ほどあった缶詰めは今や数える程。
またスーパーの中に入って集める気はしない。

「奴等は暗闇を好む…
まだいるかもしれないな…」

と呟き、残念そうに顔を上げる。

しかし嬉しい事もあった。

あれだけ派手に窓をぶち破り、地面に転がったにも関わらず、ポケットのウイスキーが割れていなかったのだ。
それを見て一瞬笑みがこぼれる。
思わずウイスキーにキスしたくなったが、その気持ちを抑えて立ち上がった。

先程から時間が経ったようで日が傾き始めている。

「よし…今日は帰るか。」

そう言って缶詰めの入った袋を持ち、平太郎はスーパーを後にした。

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あきゅろす。
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