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城ノ内家の愉快な人々
「仲良しで御座います」


 リビングルームである。

 ただし、一般家庭のような庶民的共同空間ではなく、英国貴族が食事をする為だけの空間のような、金持ち風を吹かせた場所である。

 某有名映画ハ○−=ポッターに出てくるような長い食卓。すでに家族がほとんど揃って座っているが、使用人もいない広いリビングルームでは、すこし少なく感じる。

「おはようございます。皆さん」

 穏やかに微笑んで神歌が言えば、皆やっていることを中断し、嬉しそうに笑って返事をしてくれる。

「お早う。神歌」

 新聞を読み、珈琲をすすりながら微笑むのは、城ノ内家の頼れる長男、桜花(おうか)である。赤毛と眼鏡が印象的な、大人の落ち着きを漂わせる美系男性だ。若くして帝王国日本超常現象取り締まり局という、簡単に言えば警察のような場所で局長を務めている。
 優男の外見からは想像もできないような強さだ。城ノ内家で一番しっかりしているため、兄というより父と言った方がしっくりくる。この前、誰かが間違えて桜花の事を『お父さん』と言ったのを神歌は聞いた。

 自分の席へと座り、おはようと言ってくれる家族たちにおはようと返す。それを合図に、桜花が新聞を畳み、手を合わせる。家族たちも桜花に続いて手を合わせる。

「では、いただきます」
『いただきます』

元気な家族の声がリビングに響き、城ノ内家の朝が始まった。



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あきゅろす。
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