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城ノ内家の愉快な人々
「……お早う御座います」


 ピ、ピピピピピピピピピピピピピ―――バンッ!

「…………」

 けたたましく鳴り響く目覚ましを、少年と青年の中間あたりに位置する風貌の彼は朦朧とする頭で思い切りとめた。ゆっくりと起き上がるその姿は、さながら王子のように見目麗しく、優雅で上品だ。
 黒で統一された部屋だが、不思議と彼の黒色はよく目立つ。

「……あぁ、まったく…………」

思い切りとめたせいか粉々につぶれている目覚まし時計を見て、彼――城ノ内 神歌(じょうのうち しんか)は嘆息する。

「Dr.に新調してもらわなければ………」

 家族の一人である天才科学者と狂気の科学者(マッドサイエンティスト)を足したような青年を思い浮かべて、再度嘆息する。あのお馬鹿さんの相手は正直面倒くさい。

 高級感あふれるベッドから出て、粉々な先程まで目覚まし時計だった物体をゴミ入れに投げ捨てる。黒いカーテンを開けて、気持ちいい晴天に目を細めて伸びをする。晴れてよかったと思いながら。



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