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猫と少年(雲+髑)
休日に並盛町の見回りをしていたら、塀の上を歩っている変な少女を見かけた。

休日だというのに制服を着て、(確かあれは黒曜の制服だったか、)ふらふらと何だか地に足のついていないような危なっかしい足取りで歩いている。
その少女の着ている制服というのが上下共にありえない短さだ。後ろから見るに上着とスカートの間からは背中が露出しているし、歩くたびにふわふわ揺れるスカートの裾からは白い太ももが際どいところまで見えている。僕は別に興味がないけれど、そのかっこうでそんな高い塀の上を歩くのってどうなの。
僕の学校の生徒だったら、間違いなく「噛み殺す」対象だ。

すると、ふらふらしていた少女が、本当に足を踏み外した。

「あ」

と、少女は呟いたけれど、その声からはあまり危機感が感じられなかった。焦った様子も、受け身をとる様子も見られない。
僕は、反射で手を伸ばしていた。
良心とかそんなのじゃ全然ないけれど、頭でも打たれてこんなところで倒れていられたらすごく迷惑だからだ。交通が妨害されて風紀が乱れるかもしれない。
ある程度の衝撃は覚悟していたけれど、腕の中に落ちてきた少女は、驚くほど軽かった。
身長も小柄な風ではあるけれど、それでも規格外に軽かった。

「内臓がいくつか欠けてるせいだと思う」

まるで僕の心を読んだかのように少女が囁いた。
その声はどこか聞き覚えがあった。

僕は少女をすぐに降ろして、少女も僕からすぐに離れた。
既視感を覚えた僕が記憶を漁ると、少女の奇妙な髪型に気が付いた。
あまりにも雰囲気が遠いので気が付いていなかったが、そうだ、あのムカつく南国頭と同じ髪型をしているのだ。
そう思い出すと、この少女にも見覚えがあるような気がしてきた。
確か、沢田綱吉に巻き込まれたリングを取り合う戦いの時に、いたのではなかったか。

「ありがとう、雲雀恭弥」

そう言われて、少女が僕の名前を知っていたことで、考えに確信が持てた。この少女はあの南国頭とつながりがある。
けれど南国頭のことを聞こうと思って再び伸ばした僕の手を、するりと抜けて少女は行ってしまった。
なんとなく、僕も追いかけようとは思わなかった。
代わりに、なんだか、猫のような少女だったと、ふと思った。





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髑髏ちゃんの幻でできた内臓は重さがあるのかなー、と考えながら書きました。雲雀さんはリング戦のときちらっと見かけただけの髑髏ちゃんなんてすっかり忘れポンチでしたが、髑髏ちゃんは骸様が気にしてる相手なので雲雀さんをちゃんと覚えてました(笑

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