あたたかな(骸髑) ソファーで一緒に本を読んでいたら隣にいるクロームがうつらうつらし始めた。 かくん、と頭が落ちたかと思うと、ぷるぷる頭を振って目を覚ます。 しかししばらくするとまた、ゆらゆら。 僕はぱたん、と本を閉じて、前にある机に置いた。 「クローム」 「はい……?」 彼女は瞼の落ちかけた瞳でこちらを見る。 なんとなく焦点も合っていない。 「眠そうですね」 「いえ……」 眠気を覚まそうと目をこするクローム。僕はその手をやんわり止めて、 「膝まくらしてあげましょう」 クロームの読んでいた本を取り上げて、栞を挟んで僕の本の隣に置いた。 「どうぞ」 一瞬ためらう素振りを見せたが、 眠気に負けたのか、思考がうまく働いていないのか、 こてん、と素直に横になるクローム。 もぞもぞ寝心地のいい格好を探して、落ち着いたときにはもう意識はほとんど夢の中のようだ。 膝の上の小さな頭。顔にかかる髪をはらって、そっとクロームの頬を撫でると、甘えたように擦り寄ってきた。 その様子に、知らず頬がゆるむ。この少女が愛おしい。 ああ、僕はいつの間に、愛しいなんて感情を覚えたのだろう。 クロームに出会って僕はずいぶん変わった。 すやすや微かな寝息。起こさないように小さな手の平をとって、 僕はぬくもりを確かめた。 ********** 甘いものが書きたくなりました。 途中まですいすい書けたのにオチだけがなかなか浮かばず;結局微妙になってしまいました。 甘いのは大好きなのに自己生産はできない……。 [*前へ][次へ#] |