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空色の紙で短編集
本編3
 あのとき僕は、君が飛べもしない蟻になぜなりたいのか、どうしても解らなかった。
けど、魂が去った後の蝉に群がるコイツらを見ると、君が何を考えていたのか解りそうな気がした。

 “蟻ぐらい小さくなれば、すべてが大きく見えて、光と陰の間が何色なのか、きっと見えるんだわ。”

 ちょうど去年の今頃、北へと引っ越した君を思い出しながら、誰に向けるわけでもなく僕は唱える。

「光と陰の間は、何色ですか。」



-END-


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