戴きモノ
↑A
それから、ニアは灑鑼を見かけなくなった。
「……………灑鑼…」
いつもやっているパズルが床に散らばっていた
―――2週間後
「おっはよぉ〜」
これまで何もなかったような顔でひょこっと部屋に入ってきた。
「おはようございま…………ッ」
ニアは目を見開いた。
「おはよう!ニア♪」
「おはようじゃないですよ……何処に……何処に行っていたんですか?」
「パズルやらないの?」
「質問に答えて下さい。」
「じゃあ私がやろっかなぁ♪」
「灑鑼!」
ビクッ
灑鑼の肩が震えているのに気が付いたニアは、灑鑼の肩に触れた。
「……灑鑼?…」
「えっ?あっあの…その……私、出るね……」
灑鑼はドアに向かって走った。
ガシッ
遅かった……
ニアに右腕を捕まれた
灑鑼は小刻みに震えていた
「また、何処かに行ってしまうんですか?」
「離してよ……」
「心配していました。
ずっと……もう、帰ってこな――」
「離して!」
「灑鑼!何で逃げるんですか?」
灑鑼はそれを聞いて、抵抗をやめた。
「何で………」
「……?」
「何でそんなこと言うの?!」
ニアに右腕を捕まれたまま、振り替えって言った。
その目には涙が溢れていた。
「わ、私はあなたのことが……好き…だから…です……」
灑鑼はうつむいた
「もう……遅いよ……」
と言い灑鑼はニアに左手を見せた。
N「えっ?…………」
灑鑼の左手の薬指には綺麗な指輪が輝いていた。
「わ…私の家系はみんな……18になったら婚約するの……あの時……ニアが……今の気持ち言ってくれてたら…………私……婚約を…………断わるつもりだった…………」
しばらくの沈黙があり灑鑼は言った。
「私も……ニアが………好きだったから………」
それを聞いたニアは灑鑼の右腕を離した。
灑鑼はそっとその手を取り「もう…あなたの側にいられない……」
それから微笑んだ。
「さよなら……ニア…」
ニアは部屋を出る灑鑼を呆然と見送りドアが閉まるとうつむいた。
ニアの目にも涙が溢れていた。
――――つづく――――
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