トイレの花子ちゃん 1 「…先生」 授業中。手を挙げて苦しそうに先生を呼んだのは“山川太郎”だった。彼はよく腹痛を起こす。今となってはクラスメイトに仮病だと思われている。 「また、トイレか。」 「はい…すみません…」 太郎はトイレにかけていった。 「あっ…」 太郎が目にしたのは、“故障中”の貼り紙だった。2番目のトイレはあいている。 「うわっどうしよ…」 この学校のこの階のトイレの2番目は“花子さん”が出ると言われている。太郎はそれを信じているのだ。 ギュルルルル 太郎のお腹は限界に近づいていた。 「…しょうがない」 太郎が2番目の扉を開けるその時だった。 「たー…ろー…うー…くん…」 ビクッ 太郎は突然女の子の声がしたので、びっくりして後ろを振り向いた。そこにいたのは、ツインテールの可愛らしい子だった。 「ここ…男子トイレだけど」「うん。知ってる。」 女の子は笑顔で答えた。よく見るとこの学校の制服じゃない。 「もしかして…花子さん??」「えっなんで知ってんのー!?ってか“さん”付けやめてよ〜」 テンションが高い。太郎の想像してた花子さんとは全然違った。(ってか花子さんって小学生じゃね??) 「あの…どっからきたの?」「えっ?そこ」 彼女が指を指したのは便器だった。 「は??」 「だから、そこだって。そこ、魔界の入り口なの。私、魔界人なんだ。」 「……。」 「どしたの??」 「はっ…はあぁぁぁぁあぁ!!!?」 これが太郎と花子の出会いだった。 |