幻水学園高等部
理科室 (シド)
(ヤバイ。嫌な予感がする!)
「ちょっと!ゲンゲン!チャコは?」
「え?いない?」
「さっきまで教室にいたわよね!?」
「うん。
今日は実験だからサボったのかもね」
‥チャコぉー!!
「駄目だよねぇ」なんて言ってるガボチャとゲンゲンに八つ当たりしても無駄だとわかってるけど、無性に腹が立つ。
そうこうしてるうちに授業が始まっちゃって、
「あれ?チャコくんは休みですか?
困りましたね、ユメさん、シドくんと組んであげなさい」
「‥‥え‥」
「‥何か問題でも?」
アルバート先生の顔怖いよ!眼鏡の奥光ってるよ!
「「‥がんばってね‥」」
キルキス・シルビナカップルのユニゾンに送り出されてシドのもとへ向かう。
「‥どーも」
「けけけ」
言葉が通じてない気がしますよ、いつもながら!
昔から、シドの被害者はチャコって決まってたのに、
初等部の修学旅行で同じ班になってから、先生たちの中では「チャコがいない時はユメに任せよう」みたいな暗黙の了解が出来てしまったようで。
おかげ様で、理科室には嫌な(そして強烈な)思い出しか残ってないし、きっとこれからも卒業するまでそうなんだろうと実感する今日。
ちなみに、今日は高等部入学からまだ1ヶ月ちょっとだ。
入学したてで春な空気を振り撒いてるクラスメートが羨ましい限り。(ああ、彼らの周りには明るい未来が見えるよ)
「くけけけ」
「あ、ちょっと!
それはまだ駄目だってば!
あんた先生の話聞いてた!?
もー‥あたしがやるから触らないで!」
「けけけけ‥
コワイ話をしてやろうか」
「は?
結構です。授業中です」
「実はな‥」
「聞きたくないから!
やーめーてー!
先生!シドが真面目に実験してくれません!」
「そうですか」
(スルー!?
ちょっと!アルバート先生!
アンネリー褒めてないで助けてください!)
(コワイのは苦手なんだってば!)
シルビナ?テンガ?
‥サスケ?‥ミーナ?
(最初からキルキスやヒックスには期待してないけど)
何故か誰とも目が合わない。
(見て見ぬふり?‥てか、見てもくれないなんて‥薄情過ぎる)
シドのコワイ話は、聞いてしまうと一週間は眠れなくなる。
‥‥さよなら、あたしの安眠。
「くけけ‥、
『オレはお前が好きだ』」
(‥ひぃぃい!誰か助けて!)
.
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!