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純愛だったと私は言う (沖田)


闇だ。






この結末は、なんだろう?
ハッピーエンドじゃないよね。

でも

バッドエンドでもないよ。








ふすまが開いて、目が合う。

怒ってるの?

燃えたぎる目。

綺麗な茶のはずの目は、闇に澱んでいる。




一歩。一歩。

静寂の中で畳が小さく唸る。



「総一郎くん」

闇から来た人。


「総悟でィ」

闇へ魅せられた人。



引力だったのかもしれない。

必然だったのかも。



「夢乃‥」

スラリとのびた銀に橙色の陽の光が眩しかった。


ぽたり。

ぽたり。

総悟は泣く。

闇の中から綺麗なものを絞り出すように。




あたしには総悟の闇が見えた。

総悟にはあたしの闇が。


闇の中で2人手を繋いでも、そこに出口なんてないから。




にこり。

あたしは泣かない。



「総‥‥悟‥‥‥」


総悟の闇はあたしを飲み込む。

逆だったのかもしれないけど。



あたしは、闇から解放されたのかな?





どうしてこんなことに?

あたし達は、好きだなんて言えなかったからよ。

運命、だったのかもね。



闇だと、気付いた時には遅かったのだ。






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あきゅろす。
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