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満月の下で (土方)
「待て。こんな夜中にどこへ?」

玄関には副長の姿があった。
それも鋭い殺気立った目の。

「‥土方、さん」

「どこへ行くつもりだ?
やはり‥お前、隊を抜けるつもりか」

「何‥言って‥」

「お前を万事屋の野郎なんかにはやらねぇ!それなら、俺がここでぶった斬るまでだ」

「副長‥」

「どうしてもっていうんなら、俺を倒して行くんだな。
さあ、刀を抜け!」

「‥副長‥ってば
相変わらず‥‥ですね‥」

あたしのことなんて何一つわかってくれない。
もう悲しいとかっていうレベルじゃない。

‥むっかつく!

「あたしが、隊を、抜ける!?
んで万事屋!?
俺を倒して行けとか‥アホですか?アホですよね?
あたしはちょっとそこまで出掛けてくるだけです!どいてください!」

「お前、そう言って万事屋と会うつもりだろ。こんな夜中に他にあるか」

「だから‥どこをどう勘違いしたらそうなるんですか?!
万事屋さんは関係ないの!」

「じゃ‥一体何しに行くってんだ?」

「満月!」

「あ?」

「今日は満月だから、ビールでも飲みながら高台でゆっくりお月見したかったのに‥(副長がいたらゆっくりできないじゃない!)」

「満‥‥何だって?」

「もー!副長がいたら気になって月見てる場合じゃなくなるって言ってんのよ!
だいたい、土方さんのことが大好き過ぎるあたしが隊を抜けるわけがないでしょ、馬鹿マヨラー!
ちょっとは気付け!」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ま‥待て!
今‥‥、なんて‥‥!?」


待てるかバカ!

満月だからかな
いつもより、ちょっとだけ素直になれた夜。

でも、追いかけて来たって、二度なんか言わないから。

今度は土方さんの番だからね。







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あきゅろす。
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