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ともに
「スコール!」
「‥帰ってきたのか」
「ただいま。
さっき執務室行ったらいないんだもん。今日はもう仕事終わったんだって?
お邪魔してもいい?一人でゆっくりしたかったら‥」
「一人でゆっくりの方が落ち着かないさ」
ケリーは「私もなの」と少しはにかみながら入って来る。
「ずいぶん早かったな」
「もっと早く帰ってきたかったのに、新人くんが‥」
「また無茶したんじゃないだろうな?
セントラ辺りのSランクの任務ならこれでも十分早い帰還だろう?
まして新人連れなら」
「もっと早く帰れそうだったのよ?彼、優秀なだけあるわね。
でも、最後の最後で緊張しちゃったみたい」
「ふん、優秀とはいえ新人だろう?」
SEED試験をパスしたばかりの新人SEED。
優秀な成績で合格したため、期待されているが。
幻のSEEDに憧れていたと公言するばかりか、最近ではケリーに対する好意を隠そうとしないところが気に食わない。
たまたま彼の初任務がケリーの担当になり、さすがに心配になった俺は例外としてキスティスの同行を決めたくらいだ。
「彼には厳しいのね、リーダー。
‥‥やきもち?」
「馬鹿言うな」
「はいはい。
そうですよねー。
リーダー様は彼女さんに冷たいもんねー。
せっかくスコールに早く会いたくてちょっとばかり無茶してきたのに」
「おい、いつも言ってるが‥」
「無茶はしない、でしょう?
わかってます。ちょっとよ、ちょっと」
本当にわかってるのか、と呆れてため息が出るが。
もともと、ケリーを任務に出すってだけで多少の無茶は覚悟しなければいけないのだ。
これでも単独での任務や無謀な任務(バトル)を控えるようになっただけマシというもの。
(俺もそうだしな‥お互い様だ)
「スコールだって、いつも異常に帰還早いじゃない?」
にやり、と言うケリーの言葉を無言でやり過ごす。
「考えることは同じだよね」
敵わないな、と思う。
かつては戦うことだけだった俺達が、今や、互いの場所に帰るために戦うようになった。
俺達はガーデントップのSEEDなだけに、同じ任務に同行することはまずない。
だけど、任務中はいつもお互いが側にいて、背中を任せているような安心感があった。
帰る場所、というのはそれだけの力があるのだ。
そんなことを考えるたびに微かに思い出すのは、
リノアとの約束の場所。
忘れなくていい、とケリーは言う。
俺にとってのリノアも、ケリーにとってのラグナも、掛け替えのない存在だから、と。
俺達が付き合い出してすぐのラグナの訪問のとき、ケリーは俺と歩き出すことを決めた。
俺もまた、ケリーを必ず幸せにするとラグナに誓った。
それから3年。
俺は、これからの人生も彼女と共に歩むことを、誓おうか、なんて柄にもなく考えるようになった。
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