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できることを

「スコール、久しぶりだな。
ちゃんと仕事してるか?」

「‥あんたよりはな」


俺はガーデン代表として、
訪問に来たラグナ達を出迎えていた。
この男は、これでもエスタ大統領。
一応、賓客扱いだ。




「ラグナさーん!」

ガーデンの中から、ケリーが全力疾走でこっちに向かって来るのが見えた。

(あいつは‥‥すぐ連れて行くから応接室で大人しく待っていろと言ったのに‥)

ケリーは、SEEDとしても、人間としても、
女性としても、ガーデンの人間に男女問わず憧れられている。
この俺ですら、良く出来た奴だと認めるくらい。

‥‥だが。


いつも落ち着いている彼女らしからぬ、手を振りながらラグナへ一目散に駆けて来る姿を見ていると。

何故か、すごく気に入らない。



「おっ!ケリー!
元気だったかー?
そんな走ると転ぶぞー?
はっはっは、そんなにオレに会えるのが嬉しいのかぁ。
‥‥ん?どした、キロス?」

「いや、‥アレ、‥ケリー‥‥止まる気あるのか?」

「ラーグーナーさーん!」

距離が半分以下にまで近づいているけれど、
‥‥完全に全力疾走だな。

「え!?
あっ、ちょっ‥、もしかして!?
ちょっ、ちょっ‥ケリーちゃん!?ストッ‥ってか、いや、‥待ってぇぇ!!」

「ラーグーナーさーんーのぉー
‥‥‥バカーーっ!!」

「ぐおぉっふ!!」


ケリーは、周りの予想を裏切らず、
最高速度のまま、まっしぐらにラグナへと抱き着い‥もとい激突した。


「ケリー‥相変わらずだな‥」

「キロスさん!お久しぶりです!
‥ウォードさんは?」

「あいつは留守番だ。
今ごろラグナくんの溜めた仕事に埋もれているだろう」

「会えたら良かったのに‥」

「なに、いつでも会えるさ」

「本当、‥ウォードさんにもエルにも!‥よくわかんない博士にですら、会いたいのよっ!
聞いてる!?
ラグナさんの馬鹿っ!」


「‥おい、助け起こさなくて良いのか?」


先程の攻撃で床でのびているラグナに対し、気を失っっているにもかかわらず、容赦なく文句をぶつけるケリー。
さすがにラグナが気の毒で隣に立つ大統領補佐官に声を掛けてみた。


「ああ、コレか?
これは、ある意味ラグナくんの自業自得だからな」

「そーよ!
ラグナさんが悪いんだもん!」

「まあ、ここに転がしておくのも邪魔だろうから、すまないが移動してやってくれないか?」

「わかった」

「あ、スコール。
私が運ぶよ」


‥‥俺は、イライラしていた。 多分。


「ケリー‥、俺は『応接室で待っていろ』と言ったはずだが?」

「‥ごめん」

「もういい‥。
応接室の準備はどうしたんだ?」

「アーヴィンが来て、セルフィとやってくれてる」

「あの2人がまともに準備できると思うのか?
とにかく、今すぐ戻れ。
大統領は俺が運ぶから」

「‥うん‥」

「すぐ帰るわけじゃない」

「今回は、3日の滞在だからな」

「ありがとう。
スコール。キロスさん」


よしっ、と小さく呟くと、
ケリーはガーデンへと走り出した。


「なぁ、スコールくん」

「‥なんだ」

ラグナを背負いながら
キロスへと答える。


「ケリーは、ここ‥ガーデンへ戻って来たことを後悔しているだろうか?」


「‥‥さぁな。
でも、‥させないさ」


「?」


「俺が、させない」


背のラグナに。自分に。

言い聞かせた。









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