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意外な弱点と関係性
「ケリーに?」

『ああ、うちの周辺には詳しいだろ?』

「‥‥はっきり言って、ガーデンはそんなことに最高ランクのSEEDを派遣できるほど暇じゃ‥」

『頼む!
それから、お前もついてってやってくれな!』

「はぁ?」

『当たり前だろ!
だって石がしゃべるんだぜ!?
完全にホラーだって!
ケリーになんかあったらどうすんだよ!
絶対、心細い思いさせちまうだろ!』

「まさか‥あんたじゃあるまいし‥」

『とにかく、みんなで行けよ!頼んだからな!』











「‥‥というわけだ」

「で?
私達の任務は、しゃべる石の調査ってわけ?」

「まーまー、キスティス。
楽しそうでいーじゃん」

「そーだよー、せっかくだし楽しもうじゃないか」

セルフィとアーヴィンは、こんなときでもやっぱり楽しそうだ。

「しゃべる石かぁ。
オレ、こういうの好きなんだよな。
怖い!怖いけど見たい!っていうやつ!
おっしゃ、いっくぜー!」

セルフィ達のあとを追ってゼルが出ていく。
班割りを決めたわけじゃなかったけど、結果これで3人ずつ2班に別れたことになる。

「俺達も行くか」

「しゃべる石、ね‥」

今度はスコールとキスティスが疲れたように歩き出す。
それを見て、私はちょっと罪悪感がぴりぴりする。

ここ、モルドレッド平原では、石がしゃべるという怪現象が起こる‥それを調べてくれと、エスタ大統領から依頼があった。

一体、どこの馬鹿が、
あの怖がりの大統領の耳に入れたのかしら。

石のために、高ランクSEEDが6人も!
‥泣けてきそう。


だけど、
私のミスかなぁ。


「‥リーダー‥」

「なんだ?」

「あの、私‥ここの石のこと、知ってるのよ。
知ってたんだけど‥害もなさそうだしいっか、って‥調査しなかったの」

「‥‥で?」

「だから、あの時調査していれば、大統領も‥こんな‥‥‥‥‥ごめん」

前を歩くスコールに謝ると、スコールは溜め息とともに振り返り、気まずそうに話しだした。

「‥‥実は‥‥‥」

「‥私達も、知ってたのよ‥ここのこと」

言いにくそうなスコールの代わりにキスティスが口を開く。


「私達も調べようとしたんだけどね‥」

「‥あれだ、‥なんていうか‥面倒でな」

決まり悪そうに、2人が言うもんだから笑ってしまう。









「あーもーっ、しゃべる石いくつあるのよ!」

「まぁまぁキスティス。
宝とやらに辿り着くまでの辛抱よ」

SEEDといえど、延々3時間も石だけを相手にしていれば多少はイライラする。


「‥‥‥どーでもいいが、
宝ってなんなんだ?」

「そうよね、さっきから宝宝って‥一体何なのかしら」

「やーね、キスティスまで!
宝っていうんだから、良いものに決まってるわ!
断じて‥そう、‥断じて。ホラーなんかじゃ‥」

「ケリー、引っ張るな」

私は、いつの間にかスコールの上着の裾を掴んでいたようで。

「いや、怖いとかじゃないんだけどね、もちろん。
‥‥良いでしょ、邪魔はしないから!」

「‥ケリー、もしかして‥
怖いの、ダメなの!?」

キスティスが、すごく驚いたように言う。


「ああー!!」

「何っ!?」

突然大声が聞こえて、思わずスコールにしがみついてしまった。


「スコール!こっち!」


ゼル達が何かを発見したらしく、手を振って呼んでいる。

(なんだ‥セルフィ達か‥)

ホッと胸を撫で下ろした私の肩に、スコールは、ぽん、と手を置いて小さく笑った。
私も、とゼル達のもとへ走り出したスコールのあとを追おうとしたが。


「ねぇケリー?」

「キスティス?
どうしたの?」

呼び止められて立ち止まる。

「リノアとスコールのこと、聞いた?」

「上手くいってないって話?
ガーデン中の噂ね」

「そう」

「キスティス。
‥‥大丈夫よ。
私は、知ってるから。
魔女と、魔女の騎士の絆。
‥スコールも、きっとすぐ気付くわ」







「ケリー、馬鹿ね。
私は、リノアの友達だけど。スコールも家族みたいに大切な仲間で‥。
ケリー‥あなただって‥」


私は、後ろで聞こえたキスティスの呟きを、聞こえなかったふりをして、手を振るセルフィに向かって走り出した。






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あきゅろす。
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