[携帯モード] [URL送信]

ff
『死神』@



その日は朝からろくなことがなかった。

誰にでもある、ツイてない日だったといえばそれまでだけど。


それでも、
私にとって決定的な一日になったことは間違いない。













「目標はそれぞれA〜G棟。
各班の班長から指示を受け、目標内に侵入。内部にてトラップ及び訓練用モンスターの殲滅。
これがこの演習の課題である!」

新人一般兵30名、
班長として新人ソルジャー2nd1名。
A〜G班までがこの編成で成り立っている。

この演習は新人研修の一つで、例年行われているもの。
新人一般兵から選抜された200名前後の実戦での能力把握とソルジャー2ndになった者の部隊長としての研修(ソルジャー2ndからは一般兵と合同の大規模な任務の場合部隊長として動くことになる)。
それらがこの演習の目的だけど、私達、新人タークスの研修といった目的も合わせ持っている。


しかし、タークスの存在はソルジャーだけに伝えられ、一般兵には知らされていない。

新人タークスは私のほかにもう1人いる。

彼は、ジャン。ゴールドソーサー付近の田舎出身という18歳で、歳の割には小柄な人だ。私がヒールを履けば同じくらいだから。
身体はしっかり筋肉がついていて日に焼けているので、スーツがちょっと‥似合わない。
訛りがあってよく笑う。感じがいい印象がある。
ただし、私は同期というだけで全く接点を持たないようにしてきた。
彼は養成所出身でもないし、パートナー組まされてるわけでもない。
そもそも、タークスという職場では皆必要以上には馴れ合わないし。(私とレノは別かな)

確か、一般兵試験を好成績で合格し、本人の希望が通ってタークスへ入ったってレノからは聞いていた。
つまり、一般兵としては抜きん出ているが、タークスとしてはそこそこってこと。
実力は今日の演習でわかるだろうけど。


「おれ、Aから行くわ。いい?」

「了解。私はGから」

私達タークスの目標は、各棟内に1つ置かれたマテリア回収。
各班と別行動で、だ。
要は、こっそりボスモンスターの部屋周辺に入り込んでマテリアを回収し、撤収。
建物はA〜Gまでだから、2人だと結構忙しいだろう。

ちょっとげんなり。

今朝は異常に早く起きてしまってなんだか眠いし。
しかもお腹空いてきた。

早く終わりますように。






開始の合図の花火が鳴った。


まずはG棟へ。
地図は頭に入れたからとりあえず全速力。
最初のG棟へは、確実にG班より先にたどり着かなきゃ。


2階建ての四角い建物が見えた。開始早々追い抜いたG班はまだまだ来ないはずだから、堂々と入口から入る。
一応、内部の間取りを把握しておこうかな。多分全棟同じだろうし。

1階は小部屋がたくさんあって1本の廊下で繋がっていた。
各部屋にはモンスターがいるだろう。
小部屋は無視して奥の階段へ向かうとその踊場にオチューの姿。
その後ろにマテリアが光っていた。

最悪なことに、今日はリボンを装備してくるのを忘れて。昨日の夜にはテーブルの上に置いておいたのに。

覚悟を決めて自身にヘイストをかけ、オチューに向かう。
マテリアを取ったところまでは良かったものの、去り際に臭い息を吸ってしまい、目の前が真っ暗になった。
勘を頼りに階段を上ると、2階は広い空間があるらしかった。離れたところで獣の気配がしたが、運よく少し開いていた窓から飛び降りる。
ホッとしたところで気付いた。

―‥困った。目薬忘れた。

この前使い切ったから買って来ようと思って忘れてた。
何なんだ、今日は。

―‥ん?これ‥

さっき手に入れたマテリアはエスナ!

よし。

視界が戻ると同時に、私はF棟へと駆け出した。





.

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!