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成長率 (Z、A)

ソルジャー手術後、1ヶ月経ってやっとザックスから連絡が来た。さすがにちょっと心配してたのに本人は遊びに来ねぇ?と以前と何一つ変わらない調子で拍子抜けした。

ザックスらしいといえば、ザックスらしい。



「ねぇ、ちょっと。
さっきから『ちょっと待てちょっと待て』って、一体いつ開くわけ?」

『わかった!これだ!
ほらよっ!』

「‥‥‥‥‥‥全然入れないんだけど?」

自動ドアはうんともすんとも言わない。

『ええ?嘘だろ?
だって解除キーってこれじゃねぇの?』

「私に聞いてどうすんの。
わかるわけないでしょ」

私は今ソルジャー寮(見た目マンション)のエントランスにいて、ザックスはその一室の中。インターホンを通して話しているのだから。

『こうなったら全部押してみるか?』

「え、ちょっと‥それは‥」

「止めておけザックス。
緊急用の通報ボタンを押しちまうと、けたたましいサイレンがなってすぐ警備が飛んでくるぞ」

背後からナイスタイミングな助言が降ってきた。

「良かったぁ‥
ありがとう、アンジール」

そんなもん押す前に止めてくれて。お礼を言うと、彼はニッと笑う。

『うげっ、アンジール‥!』

「よう、ザックス。
その様子だとソルジャー寮の規則は知ってるんだな?」

「は?」

規則?
その前にインターホンの解除キーを覚えてほしいところだけど。

『‥‥なな‥なんのこと?』

「今更とぼけても無駄だ。
今から行くから部屋の鍵開けて反省して待ってろ」

『‥‥はい‥』

ぷつりと回線が途切れた。

「ザックスが変なボタンでも押したの?」

「いや、実はな、
ここは一般人は立ち入れないことになってる。連れ込むのも禁止」

「‥あの馬鹿」

そもそもボタンがどうこうの前に、私は入れるはずがなかったってわけか。

「バレなきゃ良いとでも思ったんだろうがな」

「じゃあ、ザックスにこれ渡してください」

一応、ザックスに就職祝いと引っ越し祝いで持ってきたプレゼントのグラスセットをアンジールに差し出す。‥が。

「自分で渡せよ。
入れてやるから」

アンジールはニヤリと笑ってIDをリーダーにかざす。

ドアが開き、私は促されるままにゲートをくぐった。

「アンジール‥私‥いいの?」

「ああ。
3rdのザックスはともかく、俺は1stだから、それなりに自由がきく。カワイイ子連れ込むくらいはな」

アンジールは笑うけど、いいのかな‥。

「お前も正式に社員になれば入れるさ」

「そうなの?」

「ザックスがキーを解除して、お前がリーダーにIDをかざせば開くようになってる。
社員なら部外者じゃないからな」

「覚えておきます」

エレベーターを降りてホテルみたいな廊下を進む。
とりあえず、アンジールについて行けば間違いないはず。


「ソルジャーは、人間兵器だからある程度、生活は制限されている」

歩きながら、真面目な声でアンジールは言った。

「だが、それ以上に制限された部門もある。俺達はまだマシだ」

「‥でも、ソルジャーは人間兵器。どっちが良いと思います?」

「うーん‥‥。
‥‥‥‥どっちもどっち、かな」

真面目に悩むから思わず笑っしまう。
結局。廊下の端まで歩いた。
ザックスはうるさいから一番端の角部屋にしたんだと彼は言う。


「‥‥私は、覚悟しているの。
ザックスもそう。ちょっとやそっとじゃ揺るがない、覚悟。
だから、平気」

ドアの前でベルを鳴らして、ザックスが顔を出す前に、私はアンジールに言ったのだ。
なるべく、笑顔で言いたかった。
これ以上、心配性のアンジールが心配しないように。

伝わったかはわからない。けど。



「はーい!いらっしゃいませー!」

「‥ふ、
子供だと思っていたが、たくましくなっていたんだな」

「うん」

「え?何?なんのこと?」

「だが、まだまだ子供だ。
全く、ソルジャーになって少しは落ち着くかと思えば、お前は何一つ変わらない。それも長所だし駄目だとは言わないが、お前は自覚が足りなさ過ぎる。いいか、少しはソルジャーの自覚を持って‥」




ありがとう。アンジールがいるから、私達は甘えられるんだ。


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あきゅろす。
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