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ff
信じてる


「おーい、あんたにお客が来てるよー」


(誰だろう?)

ガーデン関係者だろうか。
もう私の捜索は終わったと聞いたのに。

会いに出て行くかどうかで悩んでいると、部屋に1匹のムンバがやってきた。
急かしているらしい。
愛らしい姿だけど、実態はシュミ族の最終形態。
この村に身を寄せてから、ずいぶん懐かれ(?)たのだ。


「わかったわ、今行‥」

「ラグナ!ラグナ!」

「!?」

ムンバがラグナと呼ぶのは、ラグナとスコール。
だけど‥。

私は部屋を飛び出した。

「おっ、いたいた」

部屋の前で微笑み、手を振るのは、ラグナその人。
‥言葉が出ない。

「何なに?
そんなにびっくりした?
なんでここがわかったのかって?」

「‥どうして‥」

「簡単だ。
だって、この村には俺がいるからな」

得意げに言う。
そうだ。この村には、ラグナさんがいる。
シュミ族の建てたラグナ像だけじゃない。
ラグナの思い出を、シュミ族はずっと大事にしている。この村でラグナは特別な人間だったから。


「図星、だろ?
考えりゃすぐわかるのになぁ。ま、スコールは認めたくないか」

がしがし、と頭を掻くラグナさんの仕草がものすごく懐かしい。


「ガーデンに連れ戻しに来たんですか?」

「まさか。俺はガーデンの人間じゃねぇよ。最高ランクSEEDが消息を絶ったって聞いたのだって3日前だしな。
早く言えっつーの」

「‥スコールは?」

「‥‥お前のプラン通りか知らないが、ぎこちなくもリノアとの距離は戻りつつある」

「そっか‥」

「俺、言ったよな。
運命は2人で作るもんだって。
それなのに、なんでこんな馬鹿なことを?」

「馬鹿なことだと思いますか?」

「自ら幸せを手放すなんて、賢いとは言えねーよ」

「そうですね‥」

「いつから決めてたんだ?」

「最初から。スコールと付き合うと決めたときにはもう予感していました。
だから、ずっと辛かった」

「‥そうか」


「こんな結果になってしまってごめんなさい」

「なんで俺に言う?」

「よろしく頼むって言われたのに‥」

「ケリーはよくやってくれたよ」


「‥‥‥‥‥‥ラグナさん、
私、賭けてたんです」

「賭け?」

「もし、リノアがスコールに気持ちを伝えたときに、スコールが一瞬も揺らぐことなく答えを出したら。
私は、スコールを一生離さないって‥。‥本当は、心のどこかでそれを期待してた」

「‥ありがとうな。今まであいつの側にいてくれて。
よく、‥頑張ったな」

「ううん、私‥私、最後の最後でスコールのせいにするような‥卑怯な真似を‥」

「ケリーだけが悪いんでもない。スコールの責任だってちゃんとある。
‥‥ほら、もういい。
ケリーはなにかっていうとすぐ反省して自分を認めようとしない。
いいか、そういうときは、全部忘れてリセットしちまえ。
お前は、みんなを幸せにする選択をしたんだろ?
誇れ。
そして、幸せになれ。いいな?
‥そんじゃ。帰るぞ」

「どこ、に?」

「そろそろ長い出張から帰ってきてもらわないと、うちの国も人不足でね。
よろしいかな補佐官殿?」

「‥‥‥‥‥はい‥!」




許されるとは思ってない。

でも、
スコールは絶対に幸せになるって信じてる。

だから、私もどこかできっと幸せにやってるって、
信じていて。

離れていても、絶対の信頼で、結ばれていたいから。






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あきゅろす。
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