いろいろ 忘れない 7 「聞いて聞いて! さっきさ〜図書室行ったらマカがさぁ‥‥ってユメちゃん?」 「あっ‥こん、にちは‥」 確かに。レディの部屋にノックもせずに入ったのは悪かった。 それは反省する。 でも、顔赤くしたユメちゃんも可愛い! だっけどさー‥ユカタの上に羽織ってるの、シュタインの白衣‥だよね? 「くーっ、シュタインめ! こんな可愛い子置いてどこほっつき歩いてる! ユメちゃん、寂しかったら俺の胸に飛び込んでおいで!」 「そうじゃ、なくて‥ 昨日から、魔女の気配がするのが落ち着かなくて。 キッドは心配ないって言ってくれたから怖くはないんですけど、こうしてると‥少し落ち着くので」 ほんと、こんな可愛い子、つくづくシュタインなんかにゃ勿体ない!! 「‥落ち着かない?」 「はい。 大丈夫だって、わかっていても、少し」 「どうしてかな? 報告だと、君に魂感知能力はないはずだよね?」 「わかるんです。魔女の気配だけ。ソウルプロテクトは関係なく、ただ漠然と、気配を。だから、強い者しか感じられません」 「そう、それで、メデューサのような強い魔女には反応するって訳」 「はい」 これは、難しいな。 彼女は死武専の強みにも弱みにもなる。 ‥‥しかし、 非常に危うい。 メデューサには、いや、今はとにかく外には知られたくないな。 キッドは彼女を連れ出そうとしていたが、俺は正直なところ反対だ。 今の死武専には、彼女まで守れる余裕はない。 ごめんね。 「ユメちゃんはさ、シュタインのことスッゴい好きだよね。なんで?」 「なんで、と言われましても‥好き‥だから‥?」 「だってさ、シュタインだよ? マッドサイエンティストだよ? つーかもうドSなド変態だよ?」 「ふふ、知ってます。 私実験サンプルですから。解剖もされましたし」 「どーしてそれで好きになれるんだかなぁ〜」 「そうですね。 ほんと不思議。‥‥‥だから」 「だから?‥何?」 小さな世界に閉じこもる彼女に、広い世界を見せてやりたい。 でも、守りたい。彼女の世界を狭めても。 シュタインは、どちらの答えを出したのか。 保留‥だったってとこかな。 あいつ、意外と臆病だし。 職人としては最強なのにな。 「だから、フランクは‥。 ‥‥本当、私は駄目ですね。 私、フランクが好きです。 でも、それだけですから」 「どういうこと?」 「私の片想いです。 ただ、それだけ。それ以上にはなりえません」 . [*前へ][次へ#] [戻る] |