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g.long
今日、むしゃくしゃしてたんだ。










『ふん、どっか消えやがれブス』


『なっ、気にしてることを!
なんや、イヤミか!ちょっと顔が整ってるからって調子に乗んな!
クールぶって中身ナルとか、痛いわぁ』


『アァ!?お前、ぶっ殺すぞ!』



あれは、アイツが先生んとこに来てすぐの頃か。
ヅラの次にアイツが目をつけたのは、高杉だった。
思えば、アイツは自分のことを良く思わない連中に自ら突っ込んで行ってやがったな。
俺はそんなアイツを尊敬する一方で、馬鹿だろと呆れて見てた。



『待て待て、またお前達か…。
夢乃も高杉もいい加減にしろ。銀時も見ているなら止めろ』


『無理。』


『あはは、さすがぎんとき。即答かい』


『笑ってる場合か夢乃!』


『む、何?さっきからなぁ、ヅラのくせにオカンか!?
だいたい、ケンカ売って来たの晋介やし。人の顔見るたんびブスブスって!お前は一体何様や!』


『高杉、夢乃はブスではないぞ?』


『ヅラ、お前めんどくせぇよ。
つーか、ケンカ売ってんの俺じゃあねぇし。その女がいちいち絡んでくんのがうっとうしいだけだ。
もうほっとけ。話しかけてくんな』


『いややし。
なんで話しかけちゃ駄目なん?
あたし、晋介嫌いじゃないんだよね。
せっかくだもん、仲良くなりたいなぁて』


『ふざけんな、誰が仲良くなるか!』


『まー、そー言ってられるのも今のうちってね』



言葉通り、アイツはいつの間にか高杉とも打ち解けていた。
そんなアイツらを先生がにこやかに見守っていて。
俺はなんとなく複雑な思いで見ていたのを覚えている。






「坂田さん!」

うわ、会いたくない奴に会っちまった。


「坂田さん!お散歩ですか?」

「まーそんなんですが、なにか?」

そーです。絶賛お散歩中です。放っといて下さい。


「よかった、ちょうど万事屋に行こうと思ってたんです」

「あ、そう?神楽と新八がいると思うから」

「私、坂田さんとお話したいんですけど」

「なんで?」

「なんで、って、いけませんか?」

「あんた俺のこと嫌ってなかった?」

「どうしてですか?
坂田さん、謝ってくれたじゃないですか。悪い人じゃないの、わかりましたし」

「あ、そう。
それはなによりです。
じゃ、そーゆーことで、な。
俺、これから行くとこあるから、失礼するわ」

「私のこと嫌ってるのは、坂田さんの方ですよね…?
初対面の時は感じ悪くてすみませんでした。
…もし他にも何か私が悪いことしてたなら謝ります。言って下さい。
縁あってお知り合いになれたんです。私は…」

「仲良くなりたいって?せっかくだから?」

「はい、せっかくですから」

「嫌いじゃないさ。君は何も悪くない。
ただ、君のそういう言動が、いちいち俺を傷付ける。
仲良く?勘弁してくれ。
無神経な人間じゃないなら、これ以上関わらないでくれないか」

「…あ、……あたし…、…」

「あぁ、心配しなくてもヅラには会わせてやるよ。仕事は仕事だからな」




なんでこの女はアイツそっくりなんだよ。
顔だけじゃない。
だから嫌なんだ。

俺が意識し過ぎなだけじゃないだろう?
これはなんだ?
この女の無意識に見せかけた嫌がらせ?
それとも、神様のイタズラってやつ?


もう、わけがわかんねぇよ。




「…さ、かた、さん。ひとつだけ、聞いていいですか?」

「……なに?」

「あたしが、坂田さんを傷付けるのは、あたしが、誰かに似てたから、ですか?」

「うすうすわかってんならさ、そーゆーこと、わざわざ聞かないでくれよ」

「…ごめ…ごめんなさい…」




あー、俺はきっと最低なやつなんだろうな。


2012.4.10.

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あきゅろす。
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