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g.long
今日、運勢は最下位。



『ヅラはさぁ、堅すぎじゃん?』



ヅラにとって、あいつは特別だろう。
それを言ったら俺達全員があいつを特別だったって言うけれど。


あいつは、俺達を変えていった。
それはもう引力でもあんの!?ってくらいに。
俺や高杉も例外なく。
先生も、あいつが来てからは前よりも笑ってたように思うし。
それはあいつが女だったってだけじゃなくて。
あいつがあいつだったから、俺達は惹かれて、変われたんだ。

その最初はヅラだったような気がする。



『あたし思うんだけど。
ヅラはさぁ、堅すぎじゃん?』


『ヅラじゃない!桂だ!』


『それが堅いって言ってるのに』


『貴様にどう思われ様と、俺は…』


『なぁ、銀時、ヅラって頭ホンマにヅラなん?』


『うん』

『銀時ィィイ!?
俺はヅラじゃない!桂だァア!!』


『カツラなん?』


『カツラじゃない!ヅラだ!!って、間違えたァ!』


『あっはははは!おもしろいなぁヅラ!』


『む』


『あはは、照れてる!』


『照れてなどおらん!』








ヅラだけじゃない。
あいつは俺達の思い出なんだ。

思い出…なんだ。









「だーかーらー、
私はただ桂小太郎に会いたいだけだって言ってるんです」

「なんで?」

「もー、だから私はテロリストでもないし、ただの一般人なの。桂の仲間でもないの」

「って言ってるけど?総一郎くん」

「総悟でさァ、旦那。
この女、ずっとこの繰り返しでラチがあかないってんで困ってんですよ。なんなんですかね。とんでもねぇ馬鹿か?ん?」

「な!?失礼です!
だいたい何なのか聞きたいのはこっちです!
警察?勝手に桂の仲間だと勘違いしたあげく、一言も謝りもせず問い詰めてきて!ガラ悪い人達ばっかりだし、何?今度はその辺のお役人でも連れてきたわけ?
税金泥棒もいいところだわ」

「沖田くん」

「へい、なんすか旦那」

「俺、何一つ反論浮かばねぇよ?」

「奇遇ですねィ、俺もでさァ」

「…………本当に何なのここ」

「もう帰しちゃえば?この子」

「そーしたいのも山々なんですがねィ」

「私も暇じゃないんだけど」

「……お嬢さん」

「なんですか」

「お名前、本当に小林幸代ですか?」

「そうですけど、何か?偽名だって疑ってるんですか?」

「旦那?一応、本人確認は出来てやすぜ?」

「ふーん、……………………惜しい名前でしたねぇ、残念だなぁって思っ」

「馬鹿にしないで下さい!私の名前は、両親がくれた大切な名前です!…幸せになれる様にって、くれた名前です!あなたに馬鹿にされたくありません!」

「あー…悪かった。…うん、すみませんでした」

「えーっと、こちらは万事屋をやってる坂田サンでさァ。こっちに滞在する間、世話になって下せェ」

「はい?」
「聞いてないよ?」

「旦那への依頼は、この人頼みますって言ったつもりなんで。
もうこうなったら、桂と接触させてはっきりさせるしかないと…」

「ちょっと待って、滞在って?」

「彼女、北の方から遥々出てきたらしくて。
桂に会うまでは帰れないって言いやがるんでさァ」

「待って総悟さん、私この人嫌です!」
「待て待て待て、俺やだよ!?」

「ハモるくれェだ、仲良くなれますって。
彼女の動向はウチでも監視させてもらいやすが。
頼みますぜ、旦那」


何?あの税金泥棒!!
取調室に二人残されたけど、すんげー気まずいんですけど!

やだな、俺逃げていい?

この女性、俺くらいの歳なのにやたら若い気がすんだよな。
今のアラサー?アラフォー?よく知らねーけど、さすが侮れないね。

「…本当、悪かったな」

「?」

「あんたが俺の知り合いに似てる気がして、つい名前確認しちまったんだ。馬鹿にしたつもりはねーよ」

「……私こそ、むきになってすみませんでした」

「いや、行こうか。志村って道場紹介するから、置いてもらうといい。……ストーカーがいるけど、気にしなくていいから。この駄目警察の目も入るだろうし」

「は?…それ、大丈夫じゃないですよね」

「……………大丈夫。ゴリラ女の巣だから。
守ってくれるから。たぶんね」

「坂田さん、不安感が増してます」

「じゃあ何か?俺んとこに居座る気!?
俺んち沖田くんとかジミーに監視されろっつーの?
俺嫌だからね。いいじゃん、ストーカーだけど一応警察だし、ボス猿だし。タダで○コム頼んでると思えばさあ!」

「あの、坂田さん、私のことそんなに嫌ですか?」

「うん。……あ、やべ、いや、あのね…」

「………」

「今のは、言葉のあやっつーか、ね!?」

「………ふ、はは、あははは」

「はい?」

「あはは、すご、…はは、坂田さん、
坂田さんて、素直な人ですねぇ」

「!?」


似てる人間って、笑い方まで似るもん?
俺、やっぱりこの人に関わりたくないなー。
似すぎでしょ。反則っつーか、冗談きつい。
嫌がらせか?誰の?神様の?
俺はいつの間に世界を敵に回したの?


「坂田さん、私、あなたの知り合いに似てるんですか?」

「いや?
俺の知り合いは、あんたみたいにちゃんとした人じゃないし、馬鹿だったし、変に中途半端な西なまりで話すやつだったし。あんたとは似ても似つかねーよ」


すげー似てない。そっくりな女。


あんたみたいなのには会いたくなかったよ。








.2012.1.14.

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