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g.long
今日、夏祭りに。


「銀ちゃん、タコ焼きたべたいアル」

「さっき焼きそば食ったじゃねーか」

「それはそれ。これはコレ」

「便利なセリフ覚えやがったな。
簡単に通用すると思うなよ」






祭り。

縁日。



誰もが心浮き立つ。

そわそわして、わくわくして。




「イイ大人になっても、祭りってのは魅力あるもんだなぁ。
血が騒ぐのかね」

「童心に返るんじゃないですか?
子供のころのお祭りの思い出とか、思い出しますし」

新八は幼いころの、家族の思い出が浮かぶと言った。


「銀さんもあるでしょう?お祭りの思い出」

「そんなん忘れたっつの。
君たちお子ちゃまと違って、オジサンは思い出すのも一苦労なんだよ。
じゃな、神楽は任せた」




その辺フラフラしてくらァ。

新八に神楽を押し付けて、
綿あめ食べに場を離れた。











「‥‥‥‥何やってんだ、ヅラ」


「何って、見てわからんか?
金魚すくい屋だが」


「そうか、このゲテモノは金魚だと言うんだな?」


「とある王国で神聖な生き物とされていた、宇宙金魚の古代種だ」


「へ〜」

付き合ってられねー。
他人のふり。他人のふり。


「待て銀時」


「なんですか、他人のヅラさん」


「ヅラじゃない!!桂だ!!
‥やって行かんか?
金魚すくい」


「誰がそんなガキの遊び」


「そのガキの頃、やりたいと言っていただろう?」


「馬鹿言え、俺が言う訳ねーだろ」


「はて、そうだったか?
ならば人違いか?」


「ああ。そんなアホなこと言ってたのはアイツ‥‥あー、いや、誰だったかなー?オジサン知らないし、こんなキモ金魚マジアリエナイしー?んじゃ!」


「待て!!
夢乃のこと、まだ辛いか?
捕らわれているのか?
アイツがここに居ればと思うほどに」


「テメーには関係ねーだろ」


「俺は覚えている。
お前は以前俺に思い出に出来ていない忘れられないと言った。それは、つまり、」

「ワリィなヅラ。
今俺、おしゃべりしたい気分じゃねーから」

「待っ、待てと言っておろう!
銀時!!」


みんなで祭りに行こうとアイツは言った。

両親との唯一の思い出が、祭りだったと。
だから、みんなで、家族で行こうと。



『えー?祭り行ったら?
何したいやろ。
あ、あたし金魚すくうわ!
よく見ててな!そんで銀時、かき氷食べながらで良いから応援よろしく』


夢だと言うアイツに、
俺達は安い夢だと笑い飛ばした。


すぐにでも叶うと思っていたから。



金魚、すくうんじゃなかったのかよ。

‥‥なんで、お前がいねぇんだよ。





2011.07.18.

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