g.long
今日、暑くて死ぬかと思った。
気温30度℃超え。
いわゆる猛暑日というやつか。
「あっつ〜」
「うるさいアル。あ゙ー、暑いって言うなヨ銀ちゃん!ますます暑くなるネ!!」
「だって、暑いものは暑いって。
ほんとおかしいよ?今年」
「そうですけど、
銀さんの場合、暑くても寒くてもうるさいですからね」
「いーんだよ、俺ァ。
昔散々付き合わされたんだから」
「どういうことですか?」
「散々、暑いだの寒いだのうるせーのがいてな。
このくらいの時期になると、雨が降れば鬱陶しい、晴れれば暑い、少し冷えれば寒い。ほんとうざいのなんの」
「もじゃアルカ?」
「神楽ちゃん、坂本さんに失礼だよ?
もじゃは良いけど、うざいで連想したでしょ!?」
「いーよ、大正解だよ。神楽。キングオブうざい毛玉だよ、あのもじゃは。
じゃなくて‥うるさかったのはまた違う奴。
‥でも、そういやあいつら、そういうことになると、よく一緒になって騒いでたな。6月になってコタツもいっかい出そうとかって」
「コタツ!?
確かに梅雨になって寒い時もありますけど‥。
それって、桂さんとかも一緒だったんですよね?
止める人いたんですか?」
「‥だから言ったろ?
俺は許されるって」
「銀さんの役割だったんですか‥。
世も末ですね‥」
ほんとだよ、と頷いたところで、
自分の失態に気がついた。
あいつの話、新八や神楽にはするつもりなかったのに。
とうとう暑さで頭がやられたかと思う。
「‥俺昼寝すっから。後よろしく」
急に逃げるみたいに引っ込んだ俺に
新八も神楽も呆れてた。
俺は馬鹿だよ。馬鹿だから、俺の中だけにしまっておきたい。
桂だって、きっと同じだ。
誰も忘れることなんか出来なくて、俺は特に、引っ張られている。
あいつの思い出に。
無理な話なんだ。
思い出さないことは、不可能なんだよ。
春も夏も、雪も、雨も。
空も、花も、全て全部。
あいつに繋がるんだ。
ずっと、同じものを見て聞いて、感じて。
どんな時も隣にいた。
忘れられるはずがない。
『必死だな』
ヅラに指摘された。
余計な世話だと返してやった。
ああ、必死だな。
その通りだよ。
忘れたくなくて、必死さ。
信じられねーよ。
あいつがいないのに、世の中ってもんは変わらねぇ。
新八や神楽との思い出が増えていって。
あいつとの思い出はもう増えない。
風化するのをただ待つだけの思い出だ。
いつかは、きっと忘れる。
遅かれ早かれ、いづれきっと。
だから、足掻く。
みっともなく。無様でも。
忘れたくねーんだ。
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