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g.long
今日、雪が降った。




「おはようございまーす」


‥新八か。つか、もうそんな時間かよ。



「銀さん?神楽ちゃん?」


新八は居間に誰もいないことに訝しんでいる。が、寒いんだよ。

寒い!



「銀さーん?いますかー?」


小さなノックの後に襖がするする開き、メガネの気配。


「‥まだ寝てるんですか?もういい加減、いい時間ですよ?」


「うるせーな‥寒ぃんだよ」


誰だお前。口煩い母ちゃんかコノヤロー。



「ほら、起きてください。ご飯食べないと寒いままですよ?
それに外は‥」

「っきゃっほーい!!」

「神楽ちゃん!パジャマで窓開けて寒くないの!?風邪ひくって!てか、マジ寒いんですけどー!」

―窓閉めて!着替えてきて!
外出るならご飯食べて暖かい格好してから!定春も!―


あれ、ウチにオカンていたっけ?あのメガネなんなの。
いつからツッコミキャラ辞めてオカンポジション狙ってたの。


「うっせーな‥こんな寒くて布団から出られるわきゃねーだろーが‥」


ほらみろ、雪だよ。
可憐に降ってきやがるけど、あいつらドSだから。
容赦なく冷え込むからね。
触らねー方が身のためだよ。

唯一上手くお付き合いする方法は誘われるままにテンション上げて外飛び出すしかねぇ。

だが生憎、俺ァもうそんな歳でもねーんだよな。








『高杉!その辺の犬繋いで犬ゾリせーへん?』

『馬鹿か、お前去年山でイノシシゾリ乗り回して先生に怒られてたろーが』

『それはそれ。
だって今日は雪やで?雪といえば犬ゾリ!
あれ、ぎんとき?何真面目に雪かきしちゃってんの?』

『‥うるせー‥寒ぃんだよ。
俺ァさっさと終わらせて中入る』

『なんで!?せっかく雪積もってんのに!』

『夢乃、かまくらというものを知っているか?』

『かまくら?』

『うむ。雪の家のようなもので、中で鍋を食べる』

『は?雪溶けるんちゃう?』

『溶けな‥かったらいいよな〜。それこそがかまくらの不思議な魅力だとか、魅力じゃないとか言われている』

『‥ま、いいんじゃねェ?
どーせ雪かきしたら雪山できんだ。ヅラの言ってるのが本当かどうかは置いといて、やってみるかァ』

『さんせーい!
ぎんとき、ほら、早く先生に今日お鍋にしようって言ってきて!
かまくらで食べましょうって』

『この寒いのに何でまた雪の中で飯喰わなきゃなんねーんだよ』

『何言ってるん。火起こすし、鍋だし、みんなでぎゅうぎゅうにくっついて食べたら絶対暖かいって。何ならずっとあたしがくっついてたげるし』

『夢乃、俺も寒ィ』
『馬鹿め、夢乃の隣はこの俺と決まってる』
『ふざけんな。便乗すんなコノヤロー。夢乃は俺にくっついてたいって言ってんだよ』

『‥いや‥別にくっつきたいとは言ってないし‥』








一面真っ白な朝は、

寒いのを理由にして

ぬくい布団の中で懐かしい夢を。








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あきゅろす。
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