g.long
今日、みかんを食べた。
「銀さーん、姉上からみかん差し入れです」
「なんだァ?みかん?‥ってスゲー量だなオイ。どうしたんだこれ?」
「お店のお客さんから頂いたらしいんですけど、なにしろすごい量だったので‥。まだうちにもたくさんあるんですよ。
あ、神楽ちゃん、みかんの皮はちゃんと剥こうね。好きなだけ食べていいから」
「きゃっほーい。みかん食べ放題アル!」
「‥‥ま、ココなら確かに消費すっからなー」
よくもそんなに食べれるもんだなと。次々とみかんを消していく神楽を眺めていた。
美味いけどよ。
そんなたくさん食べられるもんでもないだろ。
「‥‥神楽ァー」
「はぁに‥アルカ?銀‥ひゃん」
「喋ってる最中に食うな。
あのなー、神楽。
そんな大量に毎日みかん食ってるとな」
「ん?」
「手の平も足も、みかん色に染まっちまうぞ」
「!?」
そういや、いまどきあんまいねーよな。みかん食い過ぎた奴。
みかん食い過ぎてみかん色ってなんか笑える。
『銀時、夢乃、
大山さんのお宅にみかんがなっているのは知っていますか?』
『へぇー』
『それで?』
『ここのところ知らない間に無くなっているようで、何か知らないか、と聞いて来られました』
『盗まれたってこと?』
『気のせいちゃう?』
『それが、木の根本にみかんの皮が毎日落ちている、と』
『はは、マヌケなみかん泥棒もいたもんだな。猿じゃねーんだから』
『は!?猿って!!
‥あ、もしかしたら本当に猿とかねー?』
『そうですね。本当に猿だったら良かったのですけど。
‥夢乃。手を出してみなさい』
『‥?』
『え‥いや、先生‥その‥今汚いから‥』
『構いませんよ、さ?』
『‥‥‥‥』
『‥‥‥‥‥』
『あっははは!何、お前、手ェスゲー黄色!!だせー!!』
『‥う、うるさいな!』
『夢乃、何か私に言うことがありますね?』
『‥‥みかん、食べたの、あたしです‥』
『ぎゃははは!』
『笑い過ぎやろ!!
もー!バレたの、ぎんときのせいやで!?』
『は?なんで俺のせいなんだよ?勝手に猿みたいにみかん食って手ェ黄色になったのはお前だけだろ』
『だぁーもーうっさい!
だってあそこのみかん美味しかったんだもん!』
『‥さ、大山さんに謝りに行きましょうか、夢乃』
『う‥。‥ごめんなさい。
でも、先生は来ないで。
あたしがやったんだ。先生まで謝る必要ない。‥ちゃんと謝って来ます。あたし一人で』
あの親父怖いから嫌なんだよなーとか文句言いながらも謝りに行ったあいつを、俺と先生で見送った。
『助かりましたよ、銀時。
君といるときの夢乃はとても素直になりますからね』
ふーん。と思った。
その後、謝りに行って怒られて帰って来たはずの夢乃は何故か大量のみかんを抱えていて。
『なんか、怒られて、なんでか‥‥もらったんだけど』
夢乃が盗み食いするほど美味い大山さんちのみかんを、今度はみんなで食って。二、三日後には先生もみんなも手が黄色くて。だせーとみんなで笑った。
「もー銀さん!
神楽ちゃん止めてくださいよ」
「なんで?」
「面白いって変なスイッチ入っちゃって手の平黄色になりたがってます」
「‥‥ま、いーんじゃね?」
「あっこら!神楽ちゃん!みかんの皮で遊ばない!」
『ぎゃっ?やったな!?
ぎんとき、食らえ!みかん汁!』
俺は、今。甘酸っぱさに、涙が出そうです。
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