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最強ツンデレの敗北
ソ.逸らせない言葉
「そろそろ時間よ、スタンバイして」

「「「おう!」」」

影分身のナルト達に声をかけて態勢を整えた。
集中しろ。ここから先は戦場だ。

うん。いつでも行ける!



―――ドン!

シカマル達の隊が向こうで先陣となる目眩ましの閃光弾を撃ち込んだ。

「ナルト!」

「「「うらぁぁあ!!」」」

閃光弾を合図に私と影分身のナルトが集団で盗賊のアジトに攻め入った。囮でもあるので、ナルトには本体はネジと一緒にいるように言っている。
恐らく敵の集中攻撃を受けるだろうから。
この作戦を伝えた時、ネジもナルトも私を心配して苦い顔をしたけれど、異議を唱えたのはナルトだけだった。
Cランク任務だ。囲まれようと、私は問題無い。
「じゃあナルトの影分身が私を守ってくれたらいいでしょう」と言うまでナルトは納得しなくて。
ネジには「ユメの足を引っ張るなよ」と言われていたけれど。

これで敵の混乱を誘える。


「うわっ!何だ!?」

混乱と闇の中、ネジ達も動き出したみたいで一気に優勢となった。
援護を頼もうにも、西側はシカマル達が奇襲をかけている。


このまま行ける。


少し安堵した。


囮だったナルトの影分身達はすでに半分以下にまで減ってしまっていたから。

やっぱりナルトを連れて来るんじゃなかったな。
今日の私は任務だと割り切れてない。ナルトの心配ばかりしてしまっている。
忍としては減点だ。




もうこれで最後かと思い始めた頃に、私は心臓が縮み上がる思いをした。

(―‥‥子供!?)

どうしてこんなところに!

間一髪でテンテンのクナイの雨から救い出して無事を確認。


「大丈夫!?」

その男の子は、ニッコリと笑ってありがとうと言った。

その瞬間の、違和感。

‥まさか?


「ユメ、こっち終わったってばよ!大丈夫か?」

ナルトがこちらへ走って来て。
私は、目の前の男の子がニッコリ、ではなくニヤリと、笑みを浮かべたのを見た。

「ナルトッ!」

私はナルトと男の子の間に入り込み、無意識にクナイを構え。撃ち込む瞬間‥

「ユメッ、ダメだ!殺すなッ!」

「!?」

ナルトの声にハッとした。
今、私は確実に急所を狙おうとしていた。無意識に、正当防衛だとしても、こんな子供に。

「ユメーッ!」

「何やってる!?ユメ!」

ナルトとネジの声がなんだか他人を呼んでいるように聞こえた。


「‥くッ!」

間一髪。
子供から飛んできたチャクラ刀は私の急所を逸れて脇腹へ突き刺さった。結界を張る時間もなかった。
流し込まれてた雷のチャクラに痺れて崩れ落ちると、子供が笑顔のままこちらへ向かってくるのが見えた。


「ナルト!逃げて!」


この子は、子供じゃない。
‥忍だ。
しかも、下忍なんてレベルじゃない。私が動けない今、ナルトには無理だ。

「馬鹿言うなってばよ!」

ナルトが私の前に立ちはだかる。痺れながらもクナイを握り、ナルト越しに投げ付けるが、少し後ろに飛んだだけで子供は軽々とかわした。でも、おかげでナルトの前に札で小さな結界を張る時間が取れた。さっきのチャクラ刀くらいは防げる。


「タァッ!ネジ!」

テンテンの声と共に多量の武器が子供に向かった降り、それをかわしバランスを崩した子供へネジが追い撃ちをかけた。

「八卦六十四掌!!」





ネジが来てくれた。

もう大丈夫。


ナルトの前に張った結界を解いて私は素直にナルトへもたれかかった。
内臓は傷つけてないとは思うけれど、さすがに痛む。
医療忍者はいないから、後でテンテンに簡単に応急処置頼まなきゃ。‥それより‥

「大丈夫‥だってば‥よ?」

「‥へいき。急所じゃないし、たいしたことない」

「でも、血‥止まらねーってば‥!」

言われて見れば、確かに。
ちょっとまずい気もした。

「そうね‥
じゃあ、試してみようかな」

「‥は?」

「医療忍術の止血。
見様見真似だけど。出来そうな気が‥しなくもない」

「いや待て待て待て」

「失敗しても、自分だし‥」


右手に医療忍術のチャクラらしきチャクラをためて、ゆっくりと傷口に当てる。痛みが激しくなったけれど、ベテラン以外はそういうものだと聞いたことがあるから怯まない。

集中。集中だ。

細胞一つ一つを思い描き、繊細に、シンプルに。


「‥‥‥ユメ‥?」

目を開けると心配そうなナルトの顔。

「案外、うまくいったかも?」

まだ痛いけど、出血自体はおさまったようで。
でも、あまり動かない方がいいだろうね。なにせ見様見真似だから、と笑うと。


「ふっざけんな!」

ナルトに怒られた。


「だいたい、俺なんか庇って怪我しやがって!それで逃げろだぁ?いい加減にしろってばよ!
出血も見様見真似とか‥自分なら失敗しても、とか‥!そもそも囮だってそうだ!
‥お前が強いのはわかる。庇ってくれなかったら、俺‥大怪我で済んでたかわからねぇ。‥だけど、お願いだから、もっと自分を大切にしてくれってばよ!」

いつの間にか強く握られていた私の左手。でも、ナルトの手は震えていた。

戦闘を終えてやってきたネジの顔も、ナルト同様険しい顔をしていて。

向こうでちょうど気絶した子供を鎖でぐるぐる巻きにし終わったらしいテンテンの顔も同様。




「‥‥ごめんなさい」









その後。シカマル達の隊と合流し。盗賊達は、全員縛り上げて結界に閉じ込めた上で近くの村の役人に引き渡し、任務を終えた。

私はいつ傷口が開くかわからないからと、ナルトに背負われて帰ったけれど。逆に傷口開くんじゃないかと心配になるほど、あまりに乗り心地?が悪かったため、途中からネジに代わってもらった。





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