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最強ツンデレの敗北
レ.冷静になれなくて

『それで?』

白眼のネジに睨まれるという経験は、実際に体験してみないとわからない、何とも言えない強い圧力を感じるものだ。
昨日の夢にも同じ眼をしたネジが出てきた。今夜も出てきたらどうしよう。

『‥いろいろあって、私、ナルトと、その‥付き合う?ことになりました』

『いろいろとは?』

『いろいろは、いろいろで‥』

『‥ユメ。』

『私が好きって言ったら、ナルトが付き合おうって言って』

『ナルトは、春野サクラが好きだったのではなかったか?』

『でも、‥私のこと、好き‥かもって』

『かもだと?』

盗賊の偵察任務が終わってから、ネジに思いっきりナルトとのことを問い質された。



「‥はぁ‥」

ネジ、怒ってそうだったな。
反対された訳ではなかったけれど、おばあちゃんがいたら同じように‥いや、それ以上反対されたかな?
でも、どうして?
一人前の忍にもなれてないのにまだ早いってこと?


(‥憂鬱。任務、誰か代わってほしい)















全く。
どうしたことだ。
俺は、一体何を間違えた?



「本任務の作戦を説明します。
日が落ちるのを待ち、19時ちょうどに作戦開始」

「ええ!?
すぐにでも突っ込もうぜ!」

「ナルト、少し黙ってて」

ユメはぴしゃりとナルトに向けて言い放ち、淡々と作戦を説明する。


「以上。質問は?
‥‥なければ、持ち場に移動し、作戦開始まで待機。
暗闇に乗じての作戦だけど、暗闇は私達にとっても味方ではない。くれぐれも気をつけて。
ヒナタ、ネジ、みんなのサポートをよろしく」



ユメがナルトに惹かれつつあるのには薄々気付いていた。
しかし、こんなに早く結論が出てしまうとは。

シカマル、チョウジ、イノとヒナタ様の班と別れてしばらく。
木立の中に身を潜めて待機中、隣のうずまきナルトを睨むと「なんだってばよ!」と突っ掛かっくる。結果ナルトはテンテンに静かにしろと小突かれている。

‥こんな奴だぞ?

ユメだってわかっているはずなんだ。
この盗賊討伐任務のメンバーを集める際、一番ナルトを連れて行くのを渋っていたのはユメだから。上忍がいない任務はそれだけ危険で、隊長が班員をフォローするのにも限度があると。
結局、火影様に押し切られる形になったのだろうが。

『みんなのアイドル、しかも出世頭と、万年ドベ。驚くのも当たり前よねー』

これは先の任務中、驚く俺とシカマルに向けた山中イノの言葉だ。


というか、驚く以前の話だ。
有り得ない。
有り得てたまるか。

きっと顔に出ていたのだろう。
シカマルは憐れみを込めた眼で俺を見ていたから。



「‥やっぱすげえんだなユメ。パッと作戦作ってさ。中隊長の貫禄っつーかなんつーか」

「当たり前でしょー。ユメは中忍なんだから」

「シシシ、だな!
だけど、シカマルもだもんなー。あいつも頭いいらしいし‥」

「‥‥ユメの場合は理屈じゃない」

「ネジ?」

「どういうことだってばよ?」

「あいつの作戦の基本は『勘』だ」

「勘んん!?」

ユメを白眼で追えば、対角上に離れた木立の中にナルトの影分身とともに身を潜めていた。

「緻密な計算はほとんどない」

「そんなんで中忍!?
そんな作戦で大丈夫なんだってばよ!?」

「ふん。
あいつはただの馬鹿ではないからな。お前は信用出来ないのならしなければいい」

「はあ!?」

「ふふ、ユメの作戦って面白いし時々ほんと変わってるのよねー。でも、不思議と上手くいく」

「ああ。
俺は、あいつを信頼している。
勘も、実力も。あいつ自身も」

「あたしもー」

「‥‥‥ふーん‥」


ナルト。
お前にわかるか?
ユメのことが。

お前の目に、あいつは一体どう映っている?

好きかも、だと?

お前はそんな気持ちでユメのそばに立とうと言うのか!?


俺の、‥俺の想いは、

どこへいけばいい‥?




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あきゅろす。
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