最強ツンデレの敗北
ヌ.温もりにサヨナラ
火影様と初めてゆっくりお話をしたのは、おばあちゃんの墓前だった。
『お前の祖母さんとは、昔からの知り合いでな。一緒に修行したり、競い合ったり。‥懐かしいことじゃ。
わしはまた、置いていかれてしまったのう』
残念ながら当分、奴らのところには行けぬ。まだまだやらねばならぬことがあるからの。
確か、あの時、そうおっしゃっていたのに。
木の葉を守って、貴方はいってしまった。
『お前を中忍にしたのは、木の葉を背負えるだけの忍だと判断したからじゃ。優秀だし、お前は強い。だがの‥』
真新しい墓前には、三代目のお孫さんが一人泣いていた。
私は離れた場所からそれを少し眺め、持ってきた花も、そこへ置いた。
『だがの、もう少し弱くなってもいいんじゃよ。それに気がついた時、お前は本当の強さを得るじゃろうて。
忍は忍の道を生きる。しかし、己の人生でもあることを忘れちゃいかん』
木の葉の里は急ピッチで復興が進んでいる。
涙は涸れないけれど、笑顔は戻った。
三代目様。
木の葉は、守られました。
「テンテン!」
「あら、ユメ!」
「リーのお見舞い?」
「‥まーね。」
病院の近くで会ったテンテンは苦い顔をしていた。
「あー!ユメ!‥っとー確かゲジマユと同じ班の‥」
「テンテンよ、ナルトくん」
覚えてよね、とテンテン。
「ワン!」
‥忍犬?にしては可愛いわね。
「コイツは赤丸!んで、飼い主のキバ!」
「テンテンさんにユメさんっすよね。よろしくっす」
「よろしくー」
「‥どうも」
テンテンが愛想のない私に呆れてキバに謝っている。
‥愛想って言われたって困るだけよ。‥赤丸?は可愛いけど。
3人と1匹はせっかくだから一緒に病院へ行くと言う。
「ヒナタが今日退院するんで」
「‥具合の方は?」
「もともと一応の入院だったんでもう平気みたいっす」
「よかった‥」
きっと、ネジも安心するに違いない。
「‥ありがとう。ナルト」
私がそう言った途端、テンテンとキバくんはピシリと固まった。
「へ?何が?」
「いろいろ、よ。
‥‥べ、べつにたいしたことじゃないから!じゃあね、私これから任務だから!」
逃げるようにその場を離れた。
「なんだってばよ‥」
「「‥‥‥‥‥
(まさかのツンデレっすか?)
(うーん‥一体どーなってるのかしらねー?)‥‥」」
もやもやする。
うずまきナルト。
うずまきナルト。
もやもやする原因。
気に入らない。
会えて嬉しかった、なんて。
「お待たせしました」
「いや、集合時間5分前ピッタリ!さっすが」
「お前も見習えよ、リク。
こいつ任務忘れてたんだぜ、俺が確認するまで」
「里の復興も立派なお仕事ですー。
ん?ユメ、なんか良いことあった?顔に書いてあんぞ」
「リクさん、すぐ人の顔読まないで下さいよ」
「言っても無駄無駄。こいつデリカシーってもんがないから」
今日も木の葉のため、私のため、出来ることを一つ一つ。
それで、良いんですよね?
「そんじゃ、行きますか!」
「はい!」
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