短編
1
「ぁっ、ぁァッ…!ひぁっ…!」
薄暗い部屋の中に、ベッドの軋む音と、肌と肌のぶつかり合う乾いた音が響く。
激しく腰を打ち付ける俺の真下で艶やかな嬌声を上げるのは、まだ表情に幼さの残る青年。ぼんやりとしたライトに照らされた身体は細く、あまり陽に焼けない肌は滑らかで白い。
深くナカを穿つ度に、その汗の浮いたしなやかな背中が大きくしなる。
「ふ、ぁっ…!ぁ゙っ、ぁぁぅっ!」
いつも俺をキツく睨み付けてくる瞳は涙で潤んで、悔しげに眉が寄せられている。開いたままの唇からは飲み込みきれない唾液を溢れさせて、止むことのない喘ぎ声が零れる。
普段は強気で凛とした彼が、今は与えられる快楽に抗うことができず、俺の下でされるがままになっていた。
それを見て、無意識に口端が吊り上がっていく。ぞくぞくとした、何とも言えない感覚。
優越感、支配欲、征服欲……心の底から沸き上がってくる激しい加虐心。それらの仄暗い欲望を抑えることができない。
もっとぐちゃぐちゃにしてやりたい。この手で壊してやりたい。
そんなドロドロとした感情が溢れだしてくる。
「ぁ゙ぁっ!もっ…イッちゃ…!」
限界が近いのか、細い身体が小刻みに痙攣し始めた。
両手を強く握り締めて、堪えるように瞳をキツく閉じている。さっきから何回もイッせいで白濁で汚れるシーツに、脈打つ自身を擦り付けながら。
「……イけよ、淫乱」
「ひっ…ぁぁ───ッ!」
耳元で低く囁いて深く突き上げてやれば、より一層高い声を出して仰け反った。ナカを食い千切らんばかりに締め付けて、びゅくびゅくと白濁を撒き散らす。
「ッ…!」
「ぁっ、ぁっ…!」
その締め付けに昂ぶっていた熱が解放されて、自分も最奥に欲望を吐き出した。
それにさえ感じてしまうのか、ナカが呼応するようにぴくぴくと震える。
その反応に気を良くして、再びこの華奢な体躯を貪ろうとした時、
「はーい、二人ともお疲れ様ー」
「あ……」
すぐ近くで聞こえた小野村さんの声に、ハッと我に返った。夢から覚めたような、そんな感覚。
(撮影、終わったんだ……)
ふぅ、と安堵の息を吐いて下を見ると、グッタリと突っ伏しているアキの姿。
「はぁっ、はぁっ…ぅ……」
肩を大きく震わせて、荒い呼吸を繰り返すアキ。あぁ、色っぽいなぁ……じゃなくて!
「アキ、大丈夫…?」
「大丈夫、じゃねーよ!終わったんならさっさと抜けっ」
「いたっ」
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