櫻井家の食卓
2
この首輪はフミヤさんが俺のために買ってきてくれた物だ。俺が櫻井家の一員であることを証明するもの。フミヤさんと繋がっているっていう証。
俺が嫌がったのを見てキョトンとしたフミヤさんは、次いでふわりと笑った。
『そんなにそれが気に入ったのか?』
俺の名前入りプレートの付いた真っ赤な首輪は、今も俺の首にある。
***
散歩から帰ると、フミヤさんは朝ご飯の用意を始めた。
俺はソファーに座って、その姿をじっくり眺めさせてもらう。
(ああ……エプロン姿も良いなぁ……)
「……えーっと、あとはソーセージと……果物何かあったっけ……あ、良かった。バナナがある」
……何だかとってもエロいです!フミヤさん!
俺がまた息を荒くしていると、フミヤさんはそれを空腹だと捉えたのか、台所からからかうように笑われた。
「何だよ保智、そんなに腹減ってるのかー?」
……ご飯よりフミヤさんの方が美味しそう。
「っと、もうこんな時間か……」
フミヤさんは時計を見て呟くと、エプロンを脱いで(残念だ…)リビングを出ていった。
「和兄ィー!さっさと起きろよ!今日の授業一限目からだろー!?」
ドタドタと階段を上がる音が聞こえて、声が遠ざかっていく。
カズニイとは、フミヤさんのお兄さんのカズヒロさんのことだ。カズヒロさんが早く出かける時は、いつもフミヤさんが起してあげている。
「っぎゃあ───っ!」
突然二階から絶叫が聞こえて飛び上がった。
何だ何だフミヤさんの身に何かあった!?……慌てて階段を駆け上がって、一番奥のカズヒロさんの部屋へ向かう。
そこには……。
「やっ、ちょっ…朝っぱらから何す……んぁっ!」
「……俺の睡眠を妨げるお前が悪い」
「ぁっ!だ、て…かずにぃがぁっ…起せって…ひんっ!」
……そこには、叩き起こされて物凄く不機嫌そうなカズヒロさんと、カズヒロさんに後ろから抱きしめられてジタバタともがいているフミヤさんがいました。
しかも良く見ると、フミヤさんはズボンに手を突っ込まれて、大事な所をまさぐられている。あわわ……。
そう言えば、カズヒロさんは朝はめちゃくちゃ機嫌が悪くなるんだっけ……良く分かんないけど低血圧ってやつらしい。起こしに行くたびにこうやって襲われてるんだよなぁフミヤさん。
「あっ、そこ、やだぁっ…ゃっ、ふぁっ…!」
………。ゴクリ……俺は思わず唾を飲み込んだ。
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