櫻井家の食卓
3
自宅だから俺はかなりラフな格好をしている。薄手のロングTシャツにゆったりとしたハーフパンツ、そして下着の上下で合計四着だ。
ということは三問間違えた時点でパンツ一枚、次に間違えれば素っ裸になってしまうわけで……何でもっと厚着してこなかったんだ俺!
若干的外れな突っ込みを入れつつ、約束したからには守らないと余計に酷いことをされかねない。
観念して両手でTシャツの裾をつかむと、和兄に止められた。
「待て、誰が上を脱げって言った?」
「え?じゃあ何を……」
「下」
「はぁっ!?いや、普通上から脱ぐだろ!」
いや、このツッコミもどうかと思うけど!こんなことしてる時点でもう普通でも何でもないけど!
でも和兄は頑として譲らない。
「上は脱がなくても良い。下だけの方がそそられるだろ」
変態発言いただきました!
ていうか、それって次間違えたら下着を脱がないといけないってことで……二回でアウトとかどんだけ無茶苦茶なんだよ!
いや、でも素っ裸にされることはないんだよな……嫌だけど!下だけでも絶対に嫌だけど!
何にせよ、取り敢えず今はズボンを脱がないと……。
俺は黙ってこっちをじっと見つめる和兄を見ないようにしながら、ゆっくりとズボンを脱いだ。
うぅ…は、恥ずかしい……上は着てるのに下だけ下着とか情けな過ぎる。
「まるで誘ってるみたいだな」
口端を吊り上げながら鼻で笑うバカ兄貴。顔に熱が集まるのを感じた。
「っ…次の問題、いくから!」
「積極的だな」
「違ぁーう!」
次間違えたら変態は俺の方になる。絶対に間違えられない。
勢い良く問題に手を付けた……のは良いものの。
「不正解」
「……………」
やっぱり無理でした。うん、何となくこうなるんじゃないかって思ってたよ。
「じゃあ次は下着だな」
和兄がさっさと脱げと言わんばかりに促してくる。
でもこんな所で、しかもいくら兄弟の前でも簡単に脱げるわけないだろ。銭湯じゃないんだから。
それに「誘ってる」なんて……俺が望んでやってるみたいに言いやがって!
「……文弥」
俺がぐずぐずと脱ぐのを躊躇っていると、焦れたのか若干不機嫌そうな和兄の声が聞こえてびくりとした。
駄目だ、早くしないと何をされるか分からない。
見られるだけだ!……そう自分に言い聞かせて下着を勢い良く剥ぎ取った。
「っ、ぅぅ……」
「……………」
や、やっぱり恥ずかしい……!
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