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櫻井家の食卓
3


保智は飽きることなく首や肩口を舐め続けて、俺は舌の這い回る感覚に身体をわななかせた。

(何か…ヘンな気分になるっ……!)

いくら何でもこれは戯れるの域を超えてるだろ……!

力の入らない手で必死に保智の顔を押し退けようとする。すると今度はその手を舐められて、それにさえ反応してしまって全く抵抗にならない。

「ぁっ、保智っ…いい加減に……ぅぁっ!?」

急に保智が上から退いて、身体が軽くなったかと思えば……なんと奴は俺の股間に鼻を突っ込んできた。そのままクンクンと匂いを嗅がれて、羞恥に顔が真っ赤に染まる。

「なっ、何して……!」

あっ、もしかして昨日の匂いがまだ残ってる!?身体は和兄が洗ってくれたみたいだけど、犬の鼻なら少しでも匂うと分かるのかも……。

って保智めちゃくちゃ興奮してるしー!

いや、そりゃお前も雄だから、こういう匂いは気になるだろうけど……俺も男だからな!?何で欲情したみたいになってるんだ!?

……呑気に考えていたら、鼻先で自身をぐりぐりと押された。

「んぁっ!ゃっ、こらっ…やめっ……ひぅっ!」

弱い部分を突かれて身体が跳ねる。起き上がろうとしても力が抜けてしまって、されるがままになってしまう。

「ぁっ、ぁっ…!ぽ、ぽちっ…もっ、だめっ…!」

これ以上されたら……というか犬にくすぐられて勃ったなんて恥ずかし過ぎる……!

本気で泣きそうになった時、

「……何してンだ?」
「うえっ!?」

突然聞き慣れた声が背後から聞こえて飛び起きた。保智が反動で引っ繰り返って「キャンッ!」とか言った気がするけどまぁいっか。

「あ、拓海……」

振り返ると、そこには弟がいた。

紹介が遅れましたが、こいつは末の弟で拓海(タクミ)といいます。
明るい茶色に染めた髪をワックスで左右に跳ねさせて、耳には複数のピアス。どっからどう見ても不良だけど、和兄と同じで誰もが羨むような男前。
身長はなぜか兄の俺より高くて和兄近くある。スタイルもいいし、とても弟には見えない。

というか顔や声は和兄そっくりなんだよな。髪型とか喋り方で印象は全然違うけど。

そして性格は全然違う。拓海はとにかく自由気ままでマイペース。毎晩のように遊び歩いて、帰ってくるのはたいてい深夜か次の日の朝。
しかも族の総長なんてものをやっているから喧嘩もかなり強い。
現在中学三年生だけど、学校には滅多に行かない。うん、完璧な不良少年だな。

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