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HOPE
過去 NOside


右京と慎は昔、霧原と会った事が会った。9年前にどこかの金持ちが開いた、とあるホテルでのパーティーの事だ。


二人はまだ7歳、霧原は17歳だった。


右京は、日本が誇る大企業の社長息子、慎は松添一族に仕える家であったため、そのパーティに出席していた。



父親達が自分達の事を紹介するや否や、二人から離れてしまい、二人は大勢の見知らぬ大人に囲まれた。


「小さいのに偉いわねぇ。」

「君達、困った時はおじさんにすぐ連絡しておいでよ?色々助けてあげるからね?」


「私の名刺も受け取っておくれ、それはお父さんにちゃんと渡しておくんだよ?」


次々に伸ばされる腕、その手には白い長方形の紙。二人はそれが名刺というものであることを知らずに、受け取りコクコクと頷く。



自分達を取り囲む大人たちの異様な気迫に圧され、恐怖しているからだ。



とにかくこの場から逃げたくて、とにかく意味が解らないまま頷き、少しずつ後退る。


しかし大人たちは一向に去る様子を見せない。むしろ迫ってきている。



二人の瞳に、うっすらと涙の膜が浮かぶ。だが、大人たちはそれを見て、その涙が『恐怖』からくるものではなく、『具合が悪い』のだと判断し、更に迫ってくる。


「大丈夫かい?」


「私がお父さんのところに連れて行ってあげましょうか?」



心配を装って、右京の父に取り入ろうと企てる大人達。


二人の喉がヒグッ、とひきつる。もう少しで泣きそうになったとき───



「失礼、皆様方。……今の刻は10時過ぎです。この子達はもう寝る時間だと思いませんか?」


スッ、と二人を庇うようにして立ち塞がった者が凜、とした声で大人たちに問いかけた──────これが霧原と二人の最初の出会いだった。


大人たちは、霧原から気まずそうに視線を反らす。


「そ、それでは私がこの子達を部屋まで…「結構ですよ。皆さんはここでごゆっくりとお過ごし下さい。邪魔な子供はここで退散させて頂きますので。」



霧原はやんわりと言うと、大人たちの返事を待たずに二人の背中を優しく押しながら会場を後にした。





三人は、綺麗に整えられた中庭にやってきた。
月明かりに照らされた花々は、昼間に見る華やかな姿とは違い、とても神秘的に見えた。


二人はキョロキョロと周囲を不安気に見渡す。



「あそこに座るといい。」


霧原は中庭にある小さなベンチを指差した。そして自分が座り、その隣をぽんぽんと手の平で叩いて固まってしまっている二人を促す。



警戒するように霧原を凝視しながら隣に座る慎、おずおずと慎の隣に腰掛ける右京。



「さっきは大丈夫だったか?泣きそうになっていたけど……」

「大丈夫です……。」

「………お兄さんはどうして俺達を連れ出したの?」

霧原はふっ、と小さく微笑み、慎に隠れるようにして聞いてきた右京のその問い答えた。

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あきゅろす。
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