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華の人



活気溢れる街中を車で走る事30分、俺達は山のなかに佇む小さいビルに辿り着いた。


「……何だ、意外と小さいな。」
「あぁ、しかも山の中にあるとは思わなかった。」


別に山の中にあるのは別に不思議ではないが、明彦にしたら不思議なようだ。


「こんなに小さいのに、なんであんなに手こずってたんだ?」

「えぇーっと、ですね……。と、とりあえず中に…」

運転手が微妙な顔で中に入るよう進めてきたので、俺達は訝しく思いながら、運転手の案内に従って歩いた。










************


「「………………」」

案内された部屋に入って、俺達は自分の目を疑った。

どうなっているのか、説明をすると、潰したとはいえ、敵地である場所で暢気に眠りこけているグロヴィアに、何故かそのグロヴィアに膝枕をしている、端正な顔立ちの中国人の男……


たしか、依頼されていたマフィアのボスだった気がする。つまり、敵同士である筈の奴等が何故か仲良くなっているのだ。


『誰だお前は!』

俺に気付いた男がグロヴィアを庇うようにして、俺達に向かって中国語で怒鳴った。

「………デキちゃったのか?」
「みたいだな。」


明彦が呆然絶句いった様子で呟いた。俺はそれに淡々と答えたが、内心、不思議でならない。まぁ、組織に害がなければどうでもいいんだが。


『おい!答えろ!』

再度、男が怒鳴る。

『俺はそれの所属している所のボスだ。』

「……?陛、下?」


男がぎゃーぎゃー言うからグロヴィアが目を覚ましちまったじゃねえか。…面倒臭ぇ。


「グロヴィア、良いから寝とけ。」

俺のその言葉にグロヴィアは小さく頷き、また眠りにつく。

『で?なんでお前とグロヴィアが仲良くなってんだ?』
『お前じゃない、李籃麗(リランレイ)だ。』

どうでもいいだろ、と思いながらあっそ、と言ってやる。

『で?今の状況の説明は?早くしろ。』
『俺に指図するな。』

さすがにボスだけあって、気位は高いようだ。だが……


『陛下に向かって何言ってるの?』


お前の膝には俺の忠実な狗がいる事を忘れるな?



それにしても、高麗が俺に歯向かっただけで、目を覚ますとかどんだけ俺に忠実なんだ。まぁ、結果的に助かったわけだけど。


「グロヴィア、こっちに来い。

俺がそう言うと、大人しく俺の所に来て、高麗を睨み付けるグロヴィア。
対して、睨まれている高麗はショックを受けたような顔で俺達を見ている。


どうしよう、ものすごく苛めてやりたくなってきた。



「K…あの男からかうのもほどほどにしろよ。」

今まで黙っていた明彦が背後からそう言ってきた…

後ろ姿で分かったのか?

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