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華の人



「中には何人いる?」


「……2人、です。」



勝手に興奮している連中は無視をして、じっと部屋を睨んでいるレイブンに聞くと、固い声で返してきた。




「入るか。」


レイブンを押し退け、ズカズカと向かう。勿論、いつでも撃てるように銃を構えながら。



後ろで明彦とレイブン、スネークが慌てていたが俺の足は止まる事なく部屋に向かい、中途半端に開いた扉のノブを押した。





無謀かつ浅はかな行動だと思うかも知れないが、俺は入った所を撃たれる事はないと確信していた。


殺気が全く感じられないから。レイブン達もそれは気付いているはず。






「お前は『NO NAME』の幹部か?」



扉の向こうには『組織』の奴らだと思われる者達が血を流して倒れていた。足場がないほどの多くの人間だ。しかも様子からして全て息絶えていた。


その犯人と思われる2人組は、藍麗に良く似た男と、無駄に体格のいい丸坊主の男。




そして今俺に問いかけたのは藍麗に似た男。驚いた事に男は日本語を話した。





俺はその質問に答えることはしない。男達は無言を肯定ととり、ニヤリと笑って互いに顔を見合わせた。



『藍麗……様』


その時、俺の後に入ってきた藍麗が小さい声で呟く。しかも微かに恐怖の色が滲んでいる。


俺がせっかく挑発したのに、その言葉をもう忘れたのか?

知らず知らず、眉が寄る。俺は藍麗の恐怖を拭い去るために踵を返して藍麗の前に立ちはだかる。




『藍麗、お前はアレを殺して本物になるんじゃなかったのか?そうやって恐れたままで偽物として生きていくか?

……それなら今すぐここから出ていけ。俺は本物しか要らない。』




『っ……!俺は、奴を殺す為に来た!』



自分の口の端がつり上がるのが分かる。藍麗の瞳に恐怖が消え、力がみなぎってきた。



これでここはコイツに任せて俺達は先に進める…………。




「藍麗、グロヴィア。お前らにはここを任せる。」




「うん。」


コクッ、グロヴィアが頷き、坊主頭を見た。……ちゃんと自分の仕事を分かっているようだ。




「待て。幹部は全員ここにいろ。そこのじじいだけ上の階に進め。『B』のボスからここで幹部同士で殺り合え、って言われてんだ。」





再び藍麗に呼び止められた。どうやらリアンを『組織』のボスだと思っているようだ。……確かに年齢的にはそうかもしれないが・・・。




「おい、クソジジィ。幹部は残るそうだ。俺達は先にいくからこいつら仕留めろ。」



「何でそんなに怒るだい?」



「俺よりお前みたいなアホが上だと思われたのがムカついたからだ。」





いいから行け、と背中を回し蹴りして無理矢理敵の前に押し出す。


2人組が驚きで唖然としているのが見てとれた。

なんとも滑稽な間抜け面だな。




「行くぞ」


「あ、あぁ……」

「御意……………」

「あいさー☆」




上から明彦、レイブン、スネークがそれぞれ返事を返し、俺達はその部屋を出た。

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