華の人 ◇ K side 「『B』が動き出したということは、もう暫くしたら敵の本拠地も分かるはずだ。それまではまだ何もするな。」 「なんでアジトが分かるなんて事が言えるんだい?」 「時期に分かる。」 俺の言葉に、不満そうな表情を浮かべるリアンとグロヴィアだが、しつこくは問い質してこなかった。 俺達が話し合った作戦は、囮として各部隊の腕の立つ奴を『B』の所に行かせる。…一言で言えば特攻隊、だろうか。 敵の体勢が崩れたら、次に全員で乗り込む。そこで、下っ端は下っ端同士で殺り合ってもらう。 俺達が動くのは、邪魔な連中が居なくなった時。 大まかな作戦はこんなものだ。だが、俺は作戦通りにいくとは微塵にも思っていない。『B』がどうでるかなんて予想も出来ない事だから。 「まぁ、向こうからすれば、俺達の動きも読めないものだろうけど、な…」 「陛下?」 「なんでもない。今日は以上だ。」 グロヴィアが小さく首を傾げて俺を見ていたが、俺は目を合わせる事なく立ち上がって研究室を出ようとする。 が、それをリアンが止めた。 「ねぇ、陛下。話をかなり戻すけどさ、あの『スネーク』って何?陛下の『何か』であることは間違いないよね?」 「…知らん。」 「ウッソだ〜!知らないのはアルベリヒって名前がでしょ?」 俺は眉を顰めてチッ、と舌打ちをする。なんでコイツは時々鋭くなる。さて、どうしようか……リアンには薄々気付かれているようだし、はぐらかしきれないだろうな。 ……………話すか。 脳内で考えた結果、そうなったので、全て話した。俺が拾ったがなぜ『銀狼』ではないのか、身を隠すために部隊に入っていること。 「ほかにも、いるの?」 「『スパイダー』と『レイブン』。」 「三人もいるのか……。」 聞いてきたグロヴィアが俺の言った名前を小さく呟き、黙り込んだ。 リアンは興味津々に瞳を輝かせる。俺が拾った、という所で興味が引かれたようだ。 [*前へ][次へ#] [戻る] |