[携帯モード] [URL送信]

story
爆裂少年・安藤くん
「えりか!待ってくれよ・・・!」
薄暗い路地裏で少年の叫ぶ声がする。
茶髪の少年。純粋そうな目をしている。
顔は・・・まぁまぁいけている部類ではないだろうか。2.5枚目といったところか。
「いきなりなんなんだよぉ・・・お前から告白しといて、他に好きなやつがいるって・・・」
少年は半泣きになって言う。
その少年をうっとうしそうな顔でにらむ少女。
「うざったいわねぇ・・・ちょっと遊ぼうと思っただけでしょぉ?これだからモテないやつって嫌よ。ねぇ?」
「・・・?」
少女は誰かに問いかけるように言う。
すると後ろから1人の男が出てくる。
少年よりいくつか年は上のように見える。
こちらは正真正銘2枚目である。
チャラいかんじ、というよりは好青年といったかんじである。
「・・・そういうことを言うもんじゃないよ。えりか。・・・ごめんね、君。僕、えりかに彼氏がいたなんて知らなかったんだ」
男は困ったように言う。
「彼氏じゃないわよ、こんなん!ね、行きましょ!」
男を少女が引きずるようにして、二人は闇へ消えていった。
「・・・うう・・・」
少年はうずくまる。
「ちくしょおおおおおおお!」
その悲痛な叫びは、夜の闇の中をこだまする。
「誰だよ!!うるさいなぁ!!!」
どこからか怒鳴り声が聞こえて、少年はあわててその場を後にした。

なんでいっつもこうなんだ。
えりかだって、清楚でいいかんじと思ったらとんだ間違いだ。
俺って見る目ねぇのか・・・?
少年は夜の公園で1人ブランコに乗っている。
少年の名前は安藤。
高校1年生である。
「あー・・・それにしてもあの2枚目野郎、むかつくな・・・。なんか良いやつっぽいかんじが憎さ100倍ってかんじだな・・・」
はぁーっとため息をつく。
「・・・そろそろ帰んねえと、まぁた親父にどやされるなぁ・・・」
安藤はだるそうに立ち上がり、帰路についた。
ついてない少年である。

次の日、安藤は思いつきで幼馴染の少女のもとを尋ねる。
そこで、出会ってしまうのだ。
運命の人(安藤談)に。

「おーい。ひよこー。いるかー」
安藤はドアをたたく。
ぱたぱた、と駆けてくる音。
中からひよこがドアを開ける。
「よー安藤!ちょっと久しぶりだねー。どうしたのー」
「いや、たまには顔をだそうと、・・・ん?」
中からおいしそうな味噌汁のにおい。
(・・・おかしい。こいつの家からこんな家庭的なにおいがするなんて・・・)
安藤は怪訝に思う。
「おい・・・誰かいるのか・・・?」
「んー。よくわかったね!仕事の依頼にきてくれたひとがいるんだよ!」
ひよこは中の人物に手を振る。
安藤はそっと中をのぞく。
「あ、ひよこさんの知り合いの方ですか?」
そこにいたのは、とても美しい少女。
「はじめまして。私、青樹光と申します」
にこり。
そのとき、安藤は感じた。
今までの恋愛の不運は、・・・彼女に会うためのものだったのだ、と。
周りから見れば、「馬鹿じゃねえの」といいたくなるような思考回路だが、安藤は真剣だ。
安藤とは、そういうやつなのである。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!