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短編集・読み切り



「はぁ、はぁ…っ」


 荒い息を整えながら口に含ませたままの

島崎が勢いを失ったチ●ポを解放するのを

ぼんやりと眺める。

 岡本を介していた今までとは違うリアル

な感触を夢みたいに思い出しながら手足を

投げ出したままでいると、島崎は竿を扱い

ていた指先をそのまま下に下ろす。

 “え…?”と思った時にはもう島崎は目

的であったであろう場所に触れていて、自

分でもじっくりとは触れない場所に感じた

指先の感触に体が震えた。


「ちょっ、どこ触ってんだ、バカッ!」


 グリグリと押し入ってこようとする指先

の感触に一気に血の気が引いて、目の前の

頭をボカスカ殴る。

 さすがにそのまま続けることはできなか

ったのか、不満げに唇を尖らせながら島崎

は物言いたげに見上げてくる。

 しかしフェラをしろとは言ったが、フェ

ラしたら突っ込んでいいなんて一言も言っ

てない。

 勘違いするなと睨んで体を起こし、駅前

で配っていたポケットティッシュを取り出

すと濡れているチ●ポを拭う。

 まだ何か言いたげな島崎にティシュを差

し出すと中から数枚抜き取って、その中に

オレが吐き出したものを溢した。


「フェラしろとは言ったけど、ヤラせてや

 るなんて言ってないだろ。

 島崎こそオレを岡本扱いすんなっての」

「…そもそも岡本に俺が何しようと、ミツ

 に関係ねーじゃん」


 唇を尖らせて不満を呟く島崎を睨むとそ

れ以上の言葉は島崎の口からは出てこなか

った。

 島崎の言葉に言い返す言葉は浮かばなか

ったけれど、そう思っていたのにフェラを

したということは最初からそのつもりだっ

たということだろうか。

 数えきれないほどの人数を相手にしてき

た岡本と同じように考えているなら心外だ。

 自分は指を入れられるのすら嫌がってい

たくせに、人の体にナニを突っ込もうとい

うのだろうか。

 自分は後ろの穴を弄られてあんなに萎え

ていたくせに、どうしてオレがそれを許す

と思ったのか理解に苦しむ。

 岡本のような…あんなコトまで快楽にす

り替えてしまうどっぷりMな変態なんてそ

う転がっているものではないのに。


「帰る」

「ちょっ、俺も帰るから待てって…!」


 まだズボンを引き上げたばかりで慌てる

島崎を残し、薄い鞄を掴んで教室を出てい

く。

 島崎の言い分と妄想と、たどたどしい愛

撫の余韻が体の中でないまぜになって一緒

に帰りたくなかった。

 もう以前と同じには戻れないと知りなが

ら、けれど踏み込んではいけない泥沼にま

で知らず足を突っ込んでしまったような気

がする。

 一番タチが悪いのは、そこがどれだけ深

い沼かもわからないのに嫌悪感が麻痺して

しまっている自分自身かもしれない。




 それ以来、島崎との関係が何か変わった

かと問われても、何も変わらなかった。

 もちろんそれは表面上では、という条件

つきだけれども。

 岡本の中での高取とその他大勢に対する

差をあんなにもハッキリと見せつけられて

しまった後で、岡本を気軽にオナホ代わり

にしようとする奴は悪友連中の中にはいな

かった。

 ただそれで岡本が誰かに悪戯されること

がなくなったわけではなく、相変わらず他

の生徒や時には教師にまで好きなように弄

ばれているらしい。

 誘えば誰でも受け入れる変態の噂は、い

つの間にかクラス中だけでなく学年を飛び

越えていった。

 休み時間に連れ出される頻度は俺達がオ

ナホとして使っていた時よりも酷くなる一

方で、岡本は文字通り精気を吸い取られる

ように弱っていった。

 しかし腰を引き寄せれば折れてしまいそ

うな儚さを滲ませる一方で、纏う空気は娼

婦のように気だるげな色香を濃くしていき

岡本を教室から連れ出していく人間が後を

絶たない。

 これではオレ達にマワされていた時のほ

うがまだ顔色は良かったと思うのだが、高

取とのあれだけのやりとりを見せつけられ

てしまっては穴があれば突っ込みたい盛り

の馬鹿二人でもプライドが邪魔をするのか

誘いをかけてくることはなかった。





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