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短編集・読み切り



「テメーだけ気持ち良くなってサボってん

 じゃねー」

「ぁぅっ、ごめんなさい…」


 久しぶりに堪えなくていい射精を迎えた

岡本の腰遣いは絶頂直後で力がなく、それ

を咎めた高取が岡本の尻を叩くとパンと乾

いた音と共に高取のペニスを咥え込んでい

たアナルが収縮した。


「く…ケツ叩きゃちゃんと締められんじゃ

 ねーか。

 この尻、真っ赤になるまで叩いてやろう

 か」

「ちゃ、ちゃんとするから…っ」


 高取が一叩きしただけでじんわりと熱を

もった尻の表面を優し気な掌が撫でてとん

でもない提案をする。

 岡本は慌てて首を振りながら懇願し、高

取のペニスに集中して腰を振り始める。

 高取はやると言ったらやる。

 加減しない掌で何度も打ち付けられたら、

さすがの岡本でも日常生活に支障が出すぎ

る。

 学校を欠席するような事態にはどうして

もできない。


「やりゃーできるじゃねーか。

 さっさとやれ、ノロマ」


 岡本を蔑みながらも高取は腰を揺すり始

め、岡本はその動きに合わせて腰を揺らし

て高取の出入りするペニスを繰り返し締め

付ける。

 岡本にとって自分自身の射精よりも高取

のそれを受けることの方が大事だ。

 それは落書き云々という事情は二の次で、

岡本が高取を欲情させ繋ぎ留められている

という証拠だから。

 高取の頭の中は、少なくともその瞬間だ

けは他のことは消え去っていると確信でき

るから。

 そこに在るのがどんな感情であれ、高取

の目に映っているのは世界中で自分だけな

のだと信じられるから。


「ホント、お前オナホールとしては優秀だ

 よな」

「いいっ、高取君、あぁっ…!」


 岡本の粘膜に敏感な熱棒の全てを呑まれ

扱かれて、高取は堪えきれずに熱っぽい吐

息を四つん這いの背中に吐き出す。

 岡本の粘膜はまるで別の生き物のように

絡みつき、肉棒を擦れ合う襞の全体で吸い

付くように絞って中から精液を吐き出させ

ようとする。

 本来の器官の動きを無視したような動き

は高取の肉棒を確実に絶頂へと導く。

 誘う様に開かれた赤い蕾の奥まで突くと

熱く潤った粘膜が絡みつき、腰を引こうと

すると離すまいと粘膜全てで締め付けてく

る。

 熱く濡れた坩堝の中にペニスを突き入れ

蕩けそうになる腰を無理矢理引き抜いて欲

望のまま再び突く行為を何度も繰り返して

いるようで、高取は自分でも褒めているん

だか貶しているんだか分からない感想を漏

らす。

 岡本は今までの経験の全てを生かして高

取のペニスを体内で愛撫しつつ、同時に高

取の突き入れに合わせて腰を揺すって角度

を調整し、奥のどうしても弱いあの部分へ

と高取のペニスを誘導する。

 突き入れの度に高取のペニスの傘の部分

で奥の出っ張りを擦られると甲高い嬌声を

上げながらたまらず腰を揺する。

 それは絶頂を迎えた高取のペニスから残

滓を搾り取るのに岡本自身の穴が痙攣して

いる方がいいから…というのは建前で、や

っぱり一緒に絶頂を迎えたいから。

 他の誰かではなく、高取と一番気持ちい

い瞬間を共有したい。

 それが岡本がひっそりと心に秘めた小さ

な願いだった。



「相変わらず、エロい尻…っ」

「あっ、ぁッ、イクっ、出ちゃう…ッ」


 自分がいつもしていることは全部頭から

すっぽり抜け落ちたように岡本の腰を掴む

高取の手に力が籠る。

 高取の腰の使い方に熱が籠りもう絶頂間

際なのだと岡本は悟ったが、岡本は岡本で

さっき放ったばかりなのに高取のペニスに

弱い部分を擦られ過ぎて既に限界近くまで

ペニスは反り返ってしまっている。

 高取がピストンに集中し始めた途端に今

まで以上に高取の突き入れが深くなり、突

かれる度に奥を圧し潰されて腹の下で重力

に逆らって揺れる岡本のペニスから透明な

カウパーが飛び散って布団カバーに点々と

染みを作る。

 射精してしまいたい。

 でもそれ以上に高取と一緒にその時を迎

えたい。

 岡本は高揚する思考の中、二つの欲求の

間で揺れた。


「出すぞっ。

 ちゃんと締めろよ、岡本っ」

「うんっ。

 あっ、あッ、ああぁ…ッ!」


 絶頂はほぼ同時で、岡本は自らの欲望を

解き放つと同時に体の奥に熱い迸りを感じ

た。

 絶頂して痙攣する粘膜で射精する高取の

ペニスを扱き、最後の一滴まで余すことな

く受け止めようと岡本の襞が蠢く。

 そんな岡本の体内を深々と突き刺したま

ま蠕動する精液をねだられるまま吐き出し

ながら、高取は目の前で岡本の体に書かれ

た重ね書きをしていない書き込みがスゥ…

と消えるのを眺める。

 目で確認することは出来ないが、重ね書

きした文字は一番古いものが全て消え失せ

ただろう。

 これをあと何度か繰り返せば、岡本の体

の余白はとりあえず来週末までは確保でき

る。

 高取の性欲が失せるまで精液まみれにし

てやればとりあえずは大丈夫だろう、と残

滓を全て受け止めた岡本が快楽のあまり四

つん這いのままベッドにヘタレるのを高取

は黙って眺めた。

 岡本は幸せな余韻を噛み締めながら、そ

れでもベッドの上に寝転がってしまいたい

のを我慢する。

 まだ高取と繋がっていたい。

 背中越しの高取の息遣いは荒く、空気越

しに高取の体温さえ伝播しそうだ。

 岡本は実際の距離より高取を近くに感じ

られるこの瞬間が好きだ。

 こんなにも満たされている幸福な時間を、

岡本は他に知らない。

 ずっとこの時間の中にいられたらいいの

に。

 全ての思考が吹き飛ぶその刹那に岡本の

脳裏に残った願いは、熱の余韻が消えるま

でひっそりと跡を残したのだった。





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