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短編集・読み切り



「センセももう欲しいデショ?

 吸って」


 一瞬何を言われたのか解らなかったけれ

ど、間もなく彼の手が後頭部を抑えて腰を

前後させ始めた。

 押しては引くそれが喉の奥まで突いてき

てとても吸い込むどころではなく、しかし

後頭部を抑えられては顔すら背けられずに

嘔吐感に涙目になりながら耐えるしかなか

った。


「喉締んの気持ちイイ。

 たまんない」


 頭上から降ってくる声は何処か遠くに聞

こえ、伸ばした掌でジーンズであろう硬い

布地ごと彼の脚を掴む。

 吐き出したいばかりで歯を立てる余裕も

ないのに、喉の奥を突く肉棒は質量を増し

て凶悪になっていく。

 彼のペースで突かれて呼吸もままなら

ず、息苦しさと嗚咽感に限界を感じて彼

の脚を叩くとようやくズルリと彼が出て

いった。


「うぇッ、ゲホッゲホッゲホッ…!」

「あはは、さすがに萎えちゃったか。

 ごめんね、センセ?」


 目尻に生理的な涙を滲ませ床に手をつい

て嘔吐く私にちっとも申し訳なさそうでな

い声が降ってくる。

 それどころか後ろに回り込んだ彼はまだ

肩で息をしている私の股を強引に開かせ、

そこに体を割り込ませてきた。

 無防備にしていた尻穴に前触れもなくズ

ブリといきなり指を突っ込まれて驚いたけ

れども、先程さんざん拡げられ彼の放った

もので掻き回されていたその穴は思ってい

たよりもやすやすと彼の無遠慮な指を呑み

込んだ。

 それだけで犬のように床に這いつくばっ

て今から彼の熱棒を受け入れるのだと知れ、

思わず彼の指をキュウキュウと締め付けて

しまった。


「でもいいよね?

 今からちゃんとセンセも気持ち良くして

 あげるんだし」


 高鳴る期待感に苦しい思いをして文句が

出かかっていたことも吹き飛んでしまった。

 横顔を床にあずけながら高々と腰を持ち

上げて自ら尻肉を左右に割った。

 彼の指を呑み込む縁が引きつったように

伸びて、僅かに空いた隙間から空気が入り

込む。


「ねぇ、今自分がどんなカッコしてるか自

 覚あるよね?

 センセって口より体の方が素直なんだ?」


 遠回しに先程のおねだりよりよっぽど浅

ましいことをしていると指摘されて顔が一

瞬で沸騰しそうなほど恥ずかしかったけれ

ど…。


「さっきので充分解れてるから…」


 顔から火を噴きそうだった。

 自分が言われもしないのにどれほど浅ま

しいことをしているか、自覚はあるつもり

だ。

 けれど、何故だろう。

 それが心地いいと感じてしまう。

 それを彼に指摘されて揶揄されるのはゾ

クゾクするほど気持ちいい。

 自分はどこか壊れてしまったのかと頭の

片隅でぼんやり考えるけれど、そんなちっ

ぽけな自問は彼に穿たれればあっけなく消

えてなくなるだろう。


「じゃあ拡げててよ、センセ?」


 彼の指先が抜かれた縁は物欲しげにヒク

ヒクと震え、やや間があって濡れた先端が

触れると我慢できないように腰が動く。

 早く奥まで貫いてほしい。

 焦らされるくらいなら一気に奥まで引き

裂かれる苦痛のほうが甘美だ。

 奥へと誘うように何度も咥えこもうとす

る縁の動きを見切っているかのように物欲

しげにヒクつくそこに青年はキスしか許さ

ない。

 いっそ腰を突き出して受け入れてしまい

たいのに、少しでも腰がそちらに動くと青

年の熱棒はつれなく逃げる。





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あきゅろす。
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