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短編集・読み切り



「センセがしてって頼むなら、もう一回く

 らいしてもいいかなって思ってる」


 鼓動が跳ねた。

 体は本当に言い訳も追いつけない程素直

だった。


「でもさ、やっぱ俺も最悪の事態っていう

 のは避けたいんだよね。

 面倒事嫌いだし。

 だからこのことはこれから先ずっと口外

 しないって約束できる?」

「や、約束も何も…。

 こんなこと、誰に言えると思って…」


 そもそも傷害罪でも訴えられないだろう

と言っていたのは彼の方ではなかったか。

 モゴモゴ言っていると、彼がふっと笑っ

たような気配がした。

 背中に回された手首の付近を触られる感

覚があり、やがてずっと後ろ手に拘束され

ていた手がふっと自由になった。


「え…?」

「同意の上なら必要ないだろ?」


 どうして今更と戸惑っていたら、苦笑い

交じりに理由を教えられた。

 彼の言うことはもっともで、促されるま

まに彼の方へと向き直ると床の上に膝をつ

かされた。

 今度は目隠しが外されるのかと思ってい

たのに何故かそれには触れず、代わりに唇

に何かが触れた。

 しかし見えなくても何となく予想がつく。

 その独特の匂いは間違えようがない。


「舐めて」


 躊躇がなかったと言えば嘘になる。

 いくらそれでさんざん気持ち良くしても

らったとしても、それに直接奉仕ができる

かと問われれば答えは否だ。

 けれどここでそれを拒否したら、彼の気

が変わってしまうかもしれないと思ったら

他に選択肢はなかった。

 短い葛藤の末に唇を開くと、唇の上にそ

っと先端が乗せられた。

 未だ水分を残すそれを視界を奪われたま

ま舌で舐める。

 それはお世辞にも美味しいと言えるもの

ではないけれど、鼻をつく雄の匂いは強烈

だ。

 でもそれもやがては慣れる。

 最初は舌の先でチロチロと申し訳ない程

度に舐めていたのも、やがて舌全体で下か

ら掬い上げるようにして何度も舐め上げて

いた。


「センセってホントにマゾだね。

 美味しい?」

「美味しくはない、けど…」


 自分の股間を舐める私を見下ろしている

であろう彼はしみじみと呟いた。

 思わずそうではないと否定したけど、そ

れは正直な気持ちだった。


「じゃあなんで勃ってるの?」

「っ!?」


 不意に何か棒のようなものが私の性器の

先端をつついた。

 つつかれて多少左右には揺れたもの、し

っかり頭をもたげているのか重力に引かれ

ることはなかった。


「これはっ、その…たぶんまだイッてない

 から…っ」


 自分でだって何故なのかわからない。

 だがそれくらいしか理由を思いつかなか

った。






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